e教育機会確保法案 一人一人の学ぶ権利を守りたい

  • 2016.11.24
  • 情勢/解説

公明新聞:2016年11月24日(木)付



どんな人にも教育を受ける権利が保障される環境を整備する必要がある。

フリースクールや夜間中学など多様な学び場の提供を進めるための「教育機会確保法案」。自民、公明、民進など与野党で提出した議員立法が22日に衆院を通過した。今国会での成立を期したい。

法案提出の背景の一つに不登校の問題がある。文部科学省によると、不登校(年間の欠席日数が30日以上)の小中学生は昨年度に12万6009人に上り、ここ10年間、高止まりしている。学校の休み方もさまざまで、月に数日ずつだったり長期間連続だったりと、一人一人異なる。

このため同法案では、不登校の子どもの受け皿となっている民間のフリースクールなど、学校以外の場で行う多様な学習活動の重要性や、子どもが学校を欠席して休養する必要性を認めている。不登校で肩身の狭い思いをしている子どもや保護者には心強く感じられるのではないか。

さらに同法案は、学校教育法で定める「学校」ではないために公的な補助がないフリースクールなどに、経済的支援を検討するよう政府に求めている。実際、資金難に苦しむ施設は多い。また、月額平均3万3000円の授業料を払えずに通うのを諦める家庭もある。公的な支援が実現すれば、施設の経営安定と授業料引き下げが期待できよう。

同法案に対して、学校以外の学びの場を認めるのは「子どもを学校教育から遠ざける結果になるのではないか」と懸念する意見もある。

しかし、例えば不登校の原因の一つである学校でのいじめは深刻化し、自殺に追い込まれてしまう子もいる。学校に復帰できるにこしたことはないが、大切なのは学びの場を確保することである。

同法案はこのほか、義務教育を修了できなかった人に対する教育機会の提供も求めている。念頭にあるのは、戦争や貧困で学校に通えなかった高齢者や、外国人らが通う夜間中学の設置促進だ。

「すべて国民は、法律の定めるところにより、その能力に応じて、ひとしく教育を受ける権利を有する」との憲法26条の規定を、社会の変化に応じて具体化していく取り組みが求められている。

月別アーカイブ

iこのページの先頭へ