eコラム「北斗七星」

  • 2016.11.22
  • 情勢/社会

公明新聞:2016年11月22日(火)付



全国的に広がりを見せる「島留学」が来年4月、北海道南部の奥尻島でスタートする。町立奥尻高校は、定員40人の半数を全国から募集することを決めた。道内の全日制公立高校としては初の試み◆同校は今春、道立から町立に。少子化などで定員割れが続く中、閉校への危機感から移管に踏み切った。高校がなくなれば、進学時に子どもたちは島を離れる。送り出す保護者の経済的負担も大きく、家族そろって転出する契機にもなりかねない。「魅力ある高校づくりを主体的に進める」。そんな町の決断だった◆昨年10月、一足早く地元高校の存続に動いたのは、十勝地方北部にある足寄町。道立足寄高校に通う生徒を対象に町立民営の「塾」を開設した。個別指導や"インターネット講座"を通して学力向上を図り、今年度の新入生は増加に転じた◆数年前、道内にある病院の常勤医を対象としたアンケートで、「医師不足の要因」や「そうした地域に従事する条件」などを尋ねたところ、勤務環境や待遇に次いで「子どもの教育環境」が上位に挙がった。教育環境は、"地域力"の大切な要素であることを示す端的な例といえる◆豊かな自然や温かな人のつながり。都会にはない魅力を生かし、多感な時期の子どもたちを育む。こうした取り組みが、地方創生の"種"になる。(武)

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