e高齢受刑者の再犯防止 出所後の自立支援が欠かせない

  • 2016.11.18
  • 情勢/解説

公明新聞:2016年11月18日(金)付



本来は穏やかに過ごせるはずの老後を、長く刑務所で送ることがないよう対策を急ぎたい。

法務省が発表した今年の犯罪白書によると、2011年に刑務所を出て5年以内に再び罪を犯した65歳以上の高齢者のうち、4割が半年未満で再犯に至っていた。14年に出所した高齢者に限ると、昨年末までに再び入所した人は2割を超えた。

いずれの割合も他の世代に比べて高く、深刻な事態と言わざるを得ない。急速に進む高齢化社会において、見過ごせない問題である。

なぜ犯罪を繰り返すのか。大きな要因としては、出所後の経済的な困窮と社会からの孤立が指摘されている。

高齢の受刑者は、頼るべき近親者に疎まれることが少なくない上に、出所後も仕事や住居が定まらず、自立した生活を営むことが他の年代に比べて難しいとされる。このため、生活の苦しさや寂しさから、万引きや窃盗などを繰り返す"負の連鎖"に陥り、中には、刑務所に戻るために意図的に罪を犯す人までいるという。

この悪循環を防ぐためには、出所後の自立支援が欠かせない。

この点、公明党は今年5月に再犯対策の強化を求める提言を政府に提出している。例えば、出所後の社会復帰や自立に向けた生活指導を行う更生保護施設の職員の増員や、出所後の福祉サービスを専門的に調整する地域生活定着支援センターの増設などだ。

既に地域生活定着支援センターが設置されている自治体では、出所した高齢者に対する就労支援などで成果を挙げている。何より、親身になって見守ってくれる存在が、再犯防止に大きく役立っていることは想像に難くない。

政府は、全ての受刑者が出所後2年以内に再び刑務所に入る割合を21年までに20%以上減らす目標を掲げている。目標達成に向け、実効性ある対策に取り組んでほしい。

出所した高齢者が安定した暮らしを成り立たせていくためには、行政による支援だけでなく地域社会の理解が不可欠である。その意味から、高齢者の再犯防止は、社会全体で知恵を絞るべき課題であることも指摘しておきたい。

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