e過労自殺問題 違法な長時間労働は許されない

  • 2016.11.14
  • 情勢/解説

公明新聞:2016年11月12日(土)付



「いのちより大切な仕事はありません。過労死を繰り返さないで」。過労による自殺で愛する娘を亡くした母親の悲痛な訴えを決して無駄にしてはならない。

大手広告代理店、電通の女性新入社員が過労自殺した問題は、厚生労働省の強制捜査にまで発展し、大きな波紋を呼んでいる。

亡くなった社員は過労でうつ病を発症し昨年末に自殺、労災認定された。発症前1カ月の時間外労働は約105時間に達し、3日間会社に缶詰状態になることもあったという。「君の残業時間は会社にとって無駄」などの上司のパワハラも心理的な追い打ちを掛けたとされる。事実ならば絶対に許されないことである。

しかも、労使で残業上限を「月70時間」と決めながら、実際は月100時間を超えて残業させたり、残業時間を過少申告させた疑いがある。同社では1991年にも入社2年目の男性社員が長時間労働が原因で自殺し、労働基準監督署から是正勧告も受けていた。それだけに、従業員の健康を度外視した状態が続いていたとすれば言語道断である。再発防止へ、当局は実態の解明を急いでもらいたい。

政府が先月初めてまとめた「過労死等防止対策白書」によると、労災認定の目安となる月80時間を超えて残業した正社員のいる企業は23%に上る。長時間労働の実態が可視化されたことは前進だが、これ以上の悲劇を繰り返さないため、どう具体的な対策につなげるかが重要だ。

例えば、電通のケースでは残業時間の一部を「自己啓発」と称して意図的に過少申告させていた疑いがあることから、これを防ぐ手立てが必要だろう。公明党の山口那津男代表は政府に対し、業務上、必要な自己啓発などは勤務扱いに改めるなど、ガイドライン(指針)の策定を含め迅速に対応するよう訴えた。

政府も、過少申告問題を含め、労使間で決めた上限を超えて残業をさせた企業に対する罰則の強化を検討する方針を示した。長時間労働を是正し、働き方改革を実効性のあるものにしてほしい。

併せて、職場のメンタルヘルス(心の健康)対策の強化など、働く人のサポート体制も整えていくべきだ。

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