e歴史資源で地域振興

  • 2016.11.07
  • エンターテイメント/情報

公明新聞:2016年11月7日(月)付



来年3月から開催「幕末維新博」めざし
「青山文庫」を改修へ
高知・佐川町



高知県は、歴史を中心とした博覧会「志国高知 幕末維新博」を来年3月から開催する。期間中は県内各地の会場で、さまざまな展示やイベントが展開されるが、このうち、幕末志士の直筆書状など貴重な史料を多数収蔵している佐川町立「青山文庫」では、老朽化した施設の改修を行い、歴史資源を生かした地域振興と史料保存への取り組みが期待されている。


志士の直筆書状など展示環境を改善

幕末維新博は、大政奉還から150年に当たる2017年と、明治維新から150年を迎える18年の約2年にわたって開催。同文庫の改修は、県が新設した「歴史観光資源等強化事業補助金」を活用して耐震化などを行うもので、公明党の松浦隆起町議も同施設を地域振興に活用するよう訴えてきた。

青山文庫は、同町出身の志士で維新後に宮内大臣などを務めた田中光顕(1843~1939年)から寄贈された史料や蔵書を中心に約2万点を収蔵。館内には、坂本龍馬、中岡慎太郎、武市瑞山の直筆書状や絵画をはじめ、吉田松陰、高杉晋作、木戸孝允、西郷隆盛、岩倉具視など、幕末から明治期に活躍した人物にゆかりの品々を展示、保存している。

史料の保存や展示企画を担当している学芸員の藤田有紀さんは、「当時の人たちの思いや生きた証しを後世に残すために、田中氏が収集に励み、寄贈してくれた貴重な史料。本物の迫力は、歴史ファンからも高い評価を受けている」と話す。今回の改修に伴い、展示ケースも温度や湿度を管理しやすい密閉式のものに替え、史料保存と展示の環境を改善していくという。

また、歴史を中心に展開される幕末維新博に向けた取り組みについて、青山文庫の館長で町教育委員会の吉野広昭教育次長は、「数ある地域会場の中でも目玉施設になると思う。人を呼び込む環境づくりを進めるとともに、子どもたちの郷土学習への活用など文教の町のシンボルとして情報発信したい」と語っていた。

同町では、維新博後に新たな場所での建て替えも含めた青山文庫の抜本的な改修も検討しているが、松浦町議は「これを機に、町内外の人たちに施設の持つ価値を理解してもらい、認知度が高まれば、より良い改修の道筋にもつながる」と話していた。

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