e広がれ!心のバリアフリー

  • 2016.11.04
  • 情勢/社会

公明新聞:2016年11月4日(金)付



障がいのある人もない人も共に生きる社会へ
山形県からの報告



山形県は、民間事業所において障がい者への理解と配慮を進めるキーパーソンを育成しようと、全国で初となる「心のバリアフリー推進員」の養成研修に取り組んでいる。これは今年4月、障害者差別解消法と同時に施行された「山形県障がいのある人もない人も共に生きる社会づくり条例」に基づく具体的な施策の一つである。共生社会の実現をめざす山形県内の官民の取り組みを報告する。


公明、障がい児の居場所づくりに尽力


まなびのへや バンビーナ松原(山形市)

障がいがある子どもたちの力を信じて、可能性を引き出そうと奮闘している"居場所"が山形市にある。そこは、放課後等デイサービス事業所「まなびのへや バンビーナ松原」(佐藤奈々子代表)だ。

歩ける子どもが車いすを押すなど力を合わせて5キロの遠足をしたり、"季節を体感"できる行事をするなど一人一人の個性の尊重を心掛けている。それは「経験が少ない障がい児に、自信を持ってもらえるよう、なるべくいろんな経験をさせたい」との佐藤さんの信念に基づいている。

同事業所の開設に当たっては、国の社会福祉施設等施設整備費国庫補助金を活用した県の補助金が施設整備に使えるよう、公明党の菊池文昭県議が若松謙維参院議員と連携するなど尽力してきた。

菊池県議は「誰もが、自分らしく成長できる環境整備に全力を挙げ、『心のバリアフリー』を広げたい」と決意している。


ブルーペイント大作戦 市民の手で青く塗装


車いすなど優先駐車場

紅葉が白亜の城壁に映える晩秋の上山城(山形県上山市)。10月23日、天守閣のふもとにある駐車場では、はけやローラーを持った子どもからお年寄り、車いすの人たちが集まり、にぎやかに青いペンキで路面を塗っていた。

障がい者等用駐車区画を障がい者と住民が青く塗装する「ブルーペイント大作戦」と銘打たれた催しは、障がい者の外出支援と健常者とのコミュニケーションをめざす市民団体「グラッティテュード」代表の加藤健一さん(35)が企画したもの。16回目となったこの日は、35人が参加した。

このイベントに車いすで初めて参加した鶴巻寿さん(30)は、「障がいの有無に関係なく、みんなで一緒に"一つのこと"をやり遂げるのは素晴らしいですね」と笑顔を輝かせる。友人の後藤かお里さん(31)は、3人の子どもと参加し、「楽しみながらバリアフリーについて考えることができました」と語っていた。

「障がいによって"できないことを嘆く"より、"できることがあることを喜べる"自分を発見できた」。松田泰史さん(44)は、車いすの上から、ローラーを持つ手を強く握りながら、作業にいそしんでいた。

「ひとりのハートが世界を変えられる」


"自由な外出"かなえたい


筋ジストロフィーと闘い障壁のない街づくりに挑む 加藤健一さん

21歳で筋ジストロフィーが発覚。32歳から車いす生活を送る中、「気兼ねなく外出できる社会を」との思いが強まり、「グラッティテュード」を設立しました。

さらに、全ての人の"行きたい"との願いをかなえようと今年4月、「山形バリアフリー観光ツアーセンター」を開設。車いす利用者の目線から、観光関係者へ、誰もが旅を楽しめる環境づくりを提案するなどの活動をしています。

例えば、旅館のエレベーターが、車いすの人でも押せる低い位置にボタンがない場合。設備の更新には多額の費用がかかりますが、ボタンを押せる"棒"を用意すれば、車いすの人も利用できることがあります。

ハード面だけで、障がいに対応するには限界があります。けれど"困っている人を助けたい"と思える人が周りにいれば、障壁は乗り越えられる。「ひとりのハートが世界を変えられる」のです。「心のバリアフリー」こそ最高のおもてなし。東京五輪・パラリンピックでは、世界中の人が憧れる山形をめざします。

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