eコラム「北斗七星」

  • 2016.11.04
  • 情勢/社会

公明新聞:2016年11月4日(金)付



あまり知られていないことだが、徳島県は日本で唯一、"電車"の走っていない県だ。県内には鉄道の電化区間がないため、旅客を乗せて走るのは電車ではなく、すべてディーゼルカーだ◆しかし、徳島県はITでは日本有数の先進県である。県内の隅々まで光ファイバーが張り巡らされ、公衆無線LANも山奥の集落でさえ、「東京より通信速度が速い」というほど整備が進んでいる◆徳島では、こうしたIT環境に加え、空き民家も活用して、首都圏にある企業のサテライトオフィスなどの誘致を進めてきた。現在は多くの企業が進出し、雇用の拡大や地域の活性化に貢献している◆かつて新婚旅行のメッカとしてにぎわった宮崎県の日南海岸。ここも近年は過疎化により、商店街はシャッター通りと化していた。だが、日南市の油津商店街では、民間の力を導入して、人々が集まる魅力ある商店街づくりを推進。空き店舗に新たな店や、IT企業などの進出が相次ぎ、全国から注目されている◆高齢化と人口減少で、ともすれば日本の将来には暗いイメージがつきまといがちだ。しかし、人が集まり、アイデアを尽くせば、悲観を希望に変える発展の種はどこにでも見いだせる。大切なのは、そうしたチャレンジをしっかり応援できる社会の態勢づくりが進むことだろう。(千)

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