e下請け取引の見直し 中小企業の収益向上に不可欠だ

  • 2016.10.26
  • 情勢/解説

公明新聞:2016年10月26日(水)付



下請けの中小企業が大企業に製品を納入したにもかかわらず、代金の支払いが遅れたり、減額を強要されるなどする「下請けいじめ」が後を絶たない。こうしたあしき取引慣行の是正に、政府が本腰を入れ始めている。

自公連立政権が進める経済政策によって、大企業を中心に業績の改善が続いているが、この恩恵を中小企業にも行き渡らせることが重要だ。下請けをめぐる取引慣行が改善されれば、中小企業の収益の向上につながり、賃上げの環境もよくなる。公明党は政府に取り組みを早急に進めるよう、強く促している。

中でも、親会社が下請け事業者に対し、優越的な地位を濫用することを規制する「下請代金支払遅延等防止法」(下請代金法)の運用基準が50年ぶりに見直されることになり、注目されている。

同法は、(1)下請け代金を不当に安くする買いたたき(2)代金の支払い遅延(3)下請け代金の減額―を親会社に禁じている。今回の見直しでは、特に(2)を見直し、政府は、支払いルールを厳格化する通達を年内に出す。

具体的には、親会社に対し、原則として下請け事業者への支払いを手形ではなく、現金とすることを要請する。手形を使う場合であっても、現金化する際の手数料を親会社が負担するよう求める。

中小企業庁によると、下請け代金の受け取り方法が「すべて現金」と回答した下請け事業者の割合は約6割(2015年度)で、手形を使用するケースも少なくない。手形を現金化する際の手数料の支払いも、大半が下請け事業者の負担となっており、見直しは当然である。

手形が使われる場合、手形サイト(発行日から支払期日までの期間)は「120日以内」が約6割と最も多い。これでは支払期間が長すぎて、下請け中小企業の資金繰りに負担になることが懸念される。そのため、今回の見直しで60日に短縮するという。

公正取引委員会が昨年度、下請代金法違反で指導した件数は、過去最多の5890件に上る。11月は「下請取引適正化推進月間」である。下請け取引を行っている事業者に下請代金法の順守の徹底も進めるべきだ。

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