eコラム「北斗七星」

  • 2016.10.25
  • 情勢/社会

公明新聞:2016年10月25日(火)付



編集の仕事で喜びを実感する時は、取材した記事や立案した企画への読者の反響が良かった時だ。ましてや公明新聞の拡大に繋がったとなれば喜びはさらに倍加する◆先日、65歳の男性読者から電話があった。小説『修羅の都』が大変素晴らしい、時代考証も優れていると熱い思いを語ってくれた。元々、この男性は小紙の読者ではなかった。友人が愛読していて勧められたそうだ◆「この小説を深読みできるよう、時代背景が分かる本を読んでいる」とまで言わせた反響を、筆者の伊東潤さんにメールで伝えた。すると、筆者からすぐに「言葉に言い表せないほどうれしいです。これからもがんばります」との丁重な返信があった◆『修羅の都』が新聞拡大にまで繋がった淵源を、22日付に載せた伊東さんの新刊『江戸を造った男』の書評が示唆していた。同書は江戸の政商・河村瑞賢の生涯を描いた小説だ。書評を担当した文芸評論家の細谷正充さんは、伊東さんがデビュー10周年と新しい作家群でありながら、すでに「近年の伊東潤作品には、ベテランの風格が横溢」と指摘。読者を魅了する筆力の高さを大いに評価していた◆長く読者を惹き付けるのが新聞小説の面白さ。多くの読者とともに、『修羅の都』で頼朝と朝廷との攻防、政子の生涯など今後の展開に注目したい。(流)

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