e代替フロン削減合意 対策急ぎ、温暖化防止へ範示せ

  • 2016.10.20
  • 情勢/解説

公明新聞:2016年10月20日(木)付



地球温暖化を食い止めようとの国際社会の決断を歓迎すると同時に、対策の強化へ日本は世界に範を示していくべきであろう。

冷蔵庫やエアコンなどの冷媒として広く使用され、強い温室効果がある「代替フロン」について、国際的な枠組みで生産を規制することが15日、アフリカ・ルワンダで開かれたオゾン層破壊物質に関する「モントリオール議定書」の締約国会議で決まった。

代替フロンの代表格、ハイドロフルオロカーボン(HFC)は、従来のフロンと違いオゾン層を破壊しないが、大気に放出されると温暖化を急速に進める働きを持つ。HFCには二酸化炭素の1万倍を超す強い温室効果がある種類もあり、排出量は世界で毎年10%ずつ増えているとされる。

放置すれば温暖化が進む恐れがあるが、これまで生産や消費を規制する国際ルールはなかった。今回の合意で日本を含む先進国は2019年から段階的に生産規制を始め、36年までに、基準となる11~13年平均に比べて生産量を85%減らす。途上国も47年までに最大85%削減する。

HFCの規制で地球の気温上昇は最大0.5度抑えられるとの試算もある。政府にはまず、国民に比較的なじみの薄い代替フロンに関する今回の決定を周知し、啓発を進めてもらいたい。

日本はこれまで、25年にHFCを35%削減する目標を掲げてきたが、合意を踏まえ24年の目標を40%に高める必要がある。

国内では機器廃棄時のHFCの回収・破壊が義務付けられているとはいえ、HFCの生産や消費を具体的に規制する法律がなく、法規制を進める欧州などに比べて対策の遅れが指摘されている。目標達成に向けては、フロンなどの生産量を規制するオゾン層保護法の対象にHFCを加える法改正を行うといった、法整備を急ぐべきだ。

一方で、新たな冷媒の普及に向けた支援も欠かせない。現在、アンモニアや炭化水素など自然界にある物質を冷媒とした「ノンフロン」の開発・利用が進みつつあり、国も導入を後押ししている。こうした自然冷媒の分野で世界をリードできるよう技術開発などへのサポートも求めたい。

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