eコラム「北斗七星」

  • 2016.10.20
  • 情勢/社会

公明新聞:2016年10月20日(木)付



最近、たばこの煙が漂う居酒屋に、小さな子連れ客の姿が目立つ。思わず「大丈夫かな」と心配になることがある◆東京五輪・パラリンピックに向けて、国は「受動喫煙」に関するルールを見直すという。たばこを吸わない人にとって、他人の煙を吸わされるのは迷惑なこと。健康への悪影響も大きい◆しかし、日本では不特定の人々が利用する建物内について、法律で受動喫煙防止の努力義務はあるが罰則などはない。日本の現状は、WHOから世界でも「最低レベル」という不名誉なお墨付きを頂戴している◆厚生労働省が今月示した新たな対策のたたき台は、飲食店や事業所を含め、多数の人が利用する建物内を原則禁煙とし、違反があれば罰金を科すとしている◆だが、すでに防止条例を定めている神奈川県では、飲食店などの事業者の一部から「これでは商売ができない」と反対の声が上がり、条例づくりが難航した。国がめざす法制化もどこまで広い理解を得られるかが課題だ◆そもそも路上での"歩きたばこ"にしても、都市部など禁止の地域が多いが、たばこをくわえ、吸い殻を道に捨てる姿は今も後を絶たない。法律による規制だけの問題ではない。五輪を機会に、もう一度、喫煙が及ぼす健康への害や、マナー、他人への思いやりについて考え直していきたい。(千)

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