e宅配ロッカー 再配達の解消へ本格導入めざせ

  • 2016.10.19
  • 情勢/解説

公明新聞:2016年10月19日(水)付



宅配便の利用が急増する一方だが、再配達による社会的損失が拡大している現状を改善する契機としたい。

国土交通省は今月24日から、宅配便の再配達を減らすため、埼玉県内の「道の駅」に宅配ロッカーを設置する社会実験をスタートさせる。

利用者が希望する場合、荷物の宅配便の届け先や再配達先として宅配ロッカーを指定すると、荷物到着の際、携帯電話に解錠番号が通知される仕組みで、利用者は都合の良い時に荷物を引き取ることができる。

再配達問題は今や、事業者にとって無視できない状況にある。

2014年度の宅配便取扱個数は約36億個に上るが、そのうち届け先が受け取り人不在などのため再配達となった荷物は2割に達する。国交省によると、再配達には年間9万人のドライバーに相当する労働力がかかるという。それだけに、宅配ロッカーの普及は、事業の効率化に大きく貢献するのではないか。配送車両から排出されるCO2の削減にもつながる。

利用者にとっても利便性は高まるだろう。

再配達となれば、荷物の受け取りが遅れたり、最寄りの事業所まで引き取りに行かなければならない。しかし、宅配ロッカーが身近にあれば、24時間いつでも荷物を引き取ることができる。国交省の調査では「自宅付近のコンビニエンスストア」や「自宅付近の駅」などに宅配ロッカーの設置を望む声が多い。

宅配ロッカーは現在、一部の宅配業者によって設置が進められているものの、数に限りがある。しかも、現状ではそれぞれの事業者が設置したロッカーを他社が利用することはできない。規格やシステムが異なるからだ。このため、全ての宅配業者が利用できるオープン型ロッカーの普及が求められている。

今回の社会実験ではオープン型が採用されているが、今後、事業者同士が連携して取り組めるよう、国交省が後押しする必要があろう。

今や重要な社会インフラともいえる宅配便。事業の効率化と消費者の利便性向上の視点から、国は宅配ロッカーについての取り組みを促進してほしい。

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