e衆院TPP特委での稲津氏の質疑から

  • 2016.10.18
  • 情勢/国際
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公明新聞:2016年10月18日(火)付



輸入米「調整金」
国産米価格に影響なし
不信感払しょくへ今後は禁止



17日の衆院TPP特別委員会で稲津久氏は、外国産米を国に売る輸入業者と、国から買い付ける卸売業者がペアを組んで参加する売買同時契約(SBS)に関して、一部の輸入業者と卸売業者の間で「調整金」と呼ばれる金銭の授受があった問題を取り上げた。

日本は現在、世界貿易機関(WTO)の協定に基づき、米国などから年間77万トンのミニマム・アクセス米(MA米)を輸入している。このMA米のうち、主に主食用は輸入業者と卸業者がペアで入札に参加し、国と特別売買契約を結ぶことで実質的に"直接取引"する「SBS」を経て市場に流通。SBSは年間10万トンを上限とし、安価な外国産米の流入が米価下落の引き金にならないよう、輸入業者が事実上の関税に当たるマークアップ(国の売り渡し価格と買い入れ価格の差)を国に支払い、国は高値で卸業者に売り渡すことで国産米価格の下落を防いでいる。

稲津氏は、一部の輸入業者と卸売業者の間で「調整金」授受が明らかとなり、「調整金」を差し引いた安値のSBS米が市場に出回り国産米価格を引き下げたのではないか、との疑念があることに言及。「コメの価格水準は輸入米と国産米に関係なく品質や需給で決まる」との考えを示した上で、「調整金」が原因で国産米価格が下がった事実があったのか、ただした。

山本有二農林水産相は、国産米の価格が安いほどSBSの輸入量が少なくなっていたり、SBS米の入札前後で国産米の相対取引価格の変動がほとんどないことなどを挙げ、「金銭のやり取りがあったとしても、SBS米の価格が国産米の価格に影響を与えることはない」と答えた。

このほか、稲津氏は、環太平洋連携協定(TPP)でSBSによる約8万トンの新たな輸入枠設定に合意している点も踏まえ、コメの輸入が国産米の需給や価格に極力影響を与えないよう、SBS運用を改善していく必要性を訴えた。

山本農水相は、SBSに関する不信感を払しょくするため、今後は入札に参加する業者間の金銭授受禁止を契約書に明記すると強調。違反した場合は、入札資格停止などの措置を行うとし、制度を適正に運用していく考えを示した。

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