e世界の災害死135万人 日本主導で「国際防災」強化を

  • 2016.10.17
  • 情勢/解説

公明新聞:2016年10月17日(月)付



世界の自然災害死者数、過去20年で135万人―。

「国際防災の日」の13日、国連国際防災戦略事務局(UNISDR)が明らかにした衝撃の数字である。災害リスク軽減へ、国際社会は一層の連帯と協調を図る必要がある。

UNISDRが発表した報告書のタイトルは「貧困と死~災害による死者数」。1996年から2015年までに起きた世界の自然災害7056件を分析し、被害実態を詳細に紹介している。

それによると、この間の災害死者数135万人のうち、9割は中低所得国に集中。南北米大陸で最貧国とされるハイチで22万人超が死亡したほか、スマトラ沖地震(04年)があったインドネシアや、サイクロン被害(08年)に見舞われたミャンマーでも十数万規模で犠牲者が出ている。

一方、死者数を災害種類別でみると、圧倒的に多いのが地震・津波の約75万人。全体の6割近くを占め、報告書も「地震・津波は桁違いの被害を出す」と指摘する。

もう一点、注視すべきは、洪水や台風など気候変動の影響とみられる災害が近年、急増している点だ。ここ10年間の発生数は85~94年の10年間に比べて倍増しており、UNISDRは「地球は今後、危機的な気候変動災害に直面しよう」と警告している。

報告書を受け、潘基文国連事務総長が国際社会に向けて発信した「災害管理から災害リスク管理への移行を」とのメッセージは重要だ。

世界同時進行で進む都市化やグローバル化の潮流と、それに伴う貧富差拡大や地球温暖化などの現象は、いやがうえにも災害リスクを高めずにはおかないからだ。

事実、11年のタイ洪水は国内外の経済活動に重大な影響を及ぼしたし、東日本大震災は原発事故を伴う未曽有の複合災害に発展した。地球規模の災害リスク管理、つまりは国際防災の枠組みづくりは、現代世界の最優先課題であることを強調しておきたい。

その意味で、阪神・淡路大震災や東日本大震災を通して多くの教訓を学び、昨年3月の仙台国連防災世界会議をリードした日本が果たすべき役割は大きい。その知識や技術を広く世界に提供し、国際防災の体制構築に先駆したい。

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