eコラム「北斗七星」

  • 2016.10.06
  • 情勢/社会

公明新聞:2016年10月6日(木)付



まずは東京工業大学の大隅良典栄誉教授の医学生理学賞受賞で幕が開けたノーベル賞ウイーク。早くも国民の関心は「次の日本人受賞者は誰?」になっている。ところでアジア人で初めてノーベル賞を受賞したのは誰だろう。2日付の日曜版の文化欄でも紹介したが、インドの詩聖と言われるタゴールだ◆1861年に生まれたタゴールは、1913年に詩集『ギタンジャリ』で文学賞を受賞。この時、タゴールの受賞を強く働き掛けたのが英国文学界だったと言われている◆当時、英国の支配下にあったインド。ヒンズー文学を美しい英語で表現できる詩人としての才能が、両国の文化理解の推進役となったという。英国文学界がタゴールを受け入れ、英国国王はナイト(爵位)を与えている◆タゴールはインド国歌の作詞・作曲者でもある。1911年に作った歌が1950年に公式に国歌となった。亡くなって9年後のことだった◆80年の生涯のうち、1916年から29年の間に日本を5回も訪れ各地で講演している。タゴールは日本の文化をこよなく愛しつつも、軍国主義化しアジア諸国を侮蔑する日本の政治路線を批判、「アジアは武力によってではなく、文化によって一つでなければならない」と警鐘を鳴らした。「調和」「融合」「平和」を貫いた詩聖だった。(流)

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