e無年金者対策 受給資格の短縮法案、成立急げ

  • 2016.09.29
  • 情勢/解説

公明新聞:2016年9月29日(木)付



諦めていた公的年金を受け取れるようになれば、老後の暮らしに対する不安は少しでも和らぐに違いない。

政府は26日、年金を受け取る資格を得るために必要な加入期間(受給資格期間)を25年から10年に短縮する「年金機能強化法改正案」を閣議決定し、衆院に提出した。

今国会で成立すれば、来年10月から新たに約64万人が年金を受け取れるようになる。加入期間が短縮されることで、将来、無年金となる人を減らす効果が期待できよう。法案の成立を急ぎたい。

法案の提出には曲折を経た。

もともとは2012年の民主、自民、公明3党による社会保障と税の一体改革で決めた施策であり、17年4月に消費税率を10%に引き上げることで財源を確保する予定だった。しかし、税率引き上げの2年半延期を受け、無年金者対策は先送りされかけた。

この事態に「待った」をかけたのが公明党だ。自公政権が進める経済政策(アベノミクス)の効果が低所得の高齢者にまで及んでいない中、年金の受給資格期間の短縮を求める国民の声は大きかった。

このため公明党は、今年6月に発表した参院選の重点政策に無年金者対策の推進を明記。その後に開かれた党首討論会では、山口那津男代表が安倍晋三首相に対し、消費税率の引き上げを待たずに年金の受給資格期間を短縮するよう主張した。

安倍首相は「今後の予算編成の中で最大限努力したい」と応じ、翌7月の記者会見で正式に17年度中の実施を表明。

28日に開かれた衆院本会議の井上義久幹事長の質問に改めて実施する方針を明言した。公明党の執念が国を動かしたといえるだろう。

法案の成立後は、新たに年金を受け取れるようになる人に対して「支給請求書」が送られる。これを返信することから手続きが始まるのだが、懸念されるのは対象者が書類を見逃したり、申請を忘れたりすることだ。また、受給資格期間が10年に短縮されるとはいえ、加入期間が長いほど受け取れる年金は増える。

政府には、申請手続きのPRはもちろん、できるだけ長期間の加入や保険料の後払い制度の周知などにも努めてもらいたい。

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