e不在者投票 少しでも手間を省けないか

  • 2016.09.20
  • 情勢/解説

公明新聞:2016年9月17日(土)付



より投票しやすい制度への改善が必要だろう。

7月の参院選で18歳選挙権が実施されたことにより、不在者投票制度の煩雑な手続きが投票率に影響を与えている可能性が改めてクローズアップされている。

総務省が先週発表した参院選における18、19歳の投票率は、19歳(42.30%)が18歳(51.28%)を9ポイント下回った。高校生への主権者教育が奏功したとみられる一方で、埼玉大学の松本正生・社会調査研究センター長が「地元を離れても住民票をそのままにしていることが大きい」(10日付「毎日」)と指摘するように、進学や就職で転居した19歳の有権者が転居先で不在者投票制度を利用しなかったことが、18歳より低かった理由の一つとして考えられている。

不在者投票は、選挙期間中と投票日当日の滞在地が選挙人名簿に登録されている市区町村と異なる場合、滞在先の市区町村から投票を行える制度だ。だが、利用するには、選挙人名簿に登録されている市区町村に不在者投票の請求書を郵送して投票用紙を送ってもらい、それを持参して滞在先の不在者投票所に出向かなければならない。手続きに手間と時間がかかるために、投票を諦めたり、間に合わなかった人もいたに違いない。

中には不在者投票制度そのものを知らなかったケースもあろうが、やはり制度上の問題が大きな障害となっていることは想像に難くない。見直しに向けた議論を進めたい。

例えば、現在は郵送に限られている投票用紙などの請求を、パソコンやスマートフォンからできるようにすれば、手続きに関する負担はかなり軽くなる。将来的には、マイナンバー制度などを活用して本人確認ができるシステムを構築し、居住地以外でも手軽に投票できる仕組みを考えられないだろうか。

現在の期日前投票が不在者投票と呼ばれていたころ、印鑑を持参したり、投票所で理由を求められたりして不評を買っていた時もあった。それが大幅に簡素化され、先の参院選で期日前投票を利用する有権者は過去最多となった。

有権者、とりわけ人生初の投票に臨む若者がつまずかないよう、制度の敷居はできるだけ低くしておきたい。

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