e北朝鮮の核実験 各国が協調し、制裁に実効性を

  • 2016.09.12
  • 情勢/解説

公明新聞:2016年9月10日(土)付



北朝鮮が9日、5回目の核実験を行った。今回は「核弾頭の爆発実験」であると北朝鮮は表明している。

これが本当なら、ウランやプルトニウムといった核物質の核分裂反応による爆発の威力などを確認していたこれまでの実験とは異なり、兵器としての核弾頭を、初めて実際に爆発させたことになる。

核弾頭は核爆発装置を組み込んだもので、弾道ミサイルにも搭載できる大きさだ。今回の核実験により、北朝鮮は「核兵器の小型化」技術の進展を誇示していることになる。

北東アジアにとどまらず世界全体の平和と安定を著しく損なうとともに、現在、盛り上がりを見せている各国の核軍縮に向けた取り組みを大きく後退させかねない。断じて許容できない暴挙である。

日本政府は、関係閣僚による国家安全保障会議(NSC)を開催。情報収集と分析を実施すると同時に、放射性物質の影響を把握するため、各国と観測態勢の強化などを進めている。公明党も直ちに対策本部を設置し、対応に全力を挙げている。

それにしても、北朝鮮が1月に「水爆」と主張する核実験を実施してから、わずか8カ月という短期間での今回の核実験である。

国連安全保障理事会(安保理)が3月、北朝鮮に出入りする全ての貨物の検査など厳しい措置を盛り込んだ「国連創設以来、史上最強」(韓国政府)ともいわれる決議を採択したにもかかわらず、今回の核実験を防げなかった。この事実を、国際社会は重く受け止めるべきではないか。

そもそも、北朝鮮に対する制裁で、各国の足並みがそろっているとは言い難い。

安保理の北朝鮮制裁委員会に3月の決議の実施状況を報告した国連加盟国(193カ国)は、8月30日の時点で52カ国だけだ。特に、アラブ首長国連邦(UAE)やクウェートなど北朝鮮労働者の滞在国が未報告であることが気になる。米国務省によると、北朝鮮労働者がこうした国で稼いだ外貨が、核開発に投じられているという。

日本は、制裁決議の確実な実施を各国に強く働き掛け、北朝鮮の核開発に歯止めをかける実効性のある国際協調体制を確立する必要がある。

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