e若い世代のがん 将来見据えた継続的な支援を

  • 2016.09.08
  • 生活/生活情報

公明新聞:2016年9月8日(木)付



若いがん患者の苦悩に寄り添うような支援体制づくりの契機にしたい。

厚生労働省は、小児やAYA(思春期・若年成人)世代のがん患者を長期にわたって支える体制の整備に向け、必要な事業費を2017年度予算概算要求に盛り込んだ。事業名に「AYA世代」という言葉を冠した厚労省の取り組みは初めてであり、中高年以上とは異なる対応が必要な若いがん患者の支援に本格的に乗り出したものとして実現が期待される。

AYAとは「Adolescent(思春期) and Young Adult(若年成人)」の略語で、15歳から30歳くらいまでを指す。ただでさえ多感な思春期に重い病と向き合い、さらに進学や就職、結婚、出産などを経験する時期と重なることから、AYA世代のがん患者に対しては、医療面はもちろん精神的・社会的な側面も含めた継続的な支援が欠かせないとされる。

ただ、医療だけでも課題は少なくない。AYA世代のがんは、子どもに多い白血病や悪性リンパ腫、脳腫瘍などと、大人に多い胃がんや大腸がん、子宮がんなどが混在することがあるという。小児と成人のがん診療科双方による密接な連携が必要だが、こうした体制が整った医療機関は限られている。

放射線や抗がん剤の影響により、成長に伴って不妊や糖尿病になったり別のがんを発症する「晩期合併症」への備えも必要だ。加えて、将来の進路に対するアドバイスや、日常生活に必要な福祉サービスの情報提供など、サポートすべき内容は多岐にわたる。

このため厚労省は今回の事業で、全国15カ所の小児がん拠点病院を中心に、医師や看護師、ソーシャルワーカー、臨床心理士などによるチームを育成し、長期的な支援体制を整えたいとしている。公明党もAYA世代のがん患者支援を一貫して訴えてきた。患者やその家族の期待に応える取り組みとなるよう重ねて求めたい。

病気との闘いだけでなく、友人が青春を満喫する姿を目にしながら日々を送るつらさは、本人にしか分からない。そこに少しでも光が差し込むような対策を前進させたい。

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