eパリ協定米中批准 年内発効へ 日本も早期承認を

  • 2016.09.07
  • 情勢/解説

公明新聞:2016年9月7日(水)付



今年上半期の世界の平均気温は、観測記録が残る1880年以降で最も高かった。近年、各国で続く異常気象は、地球温暖化の影響が強く指摘されており、対策は待ったなしの状況である。

そうした中、米国のオバマ大統領と中国の習近平国家主席は、温暖化対策の新しい枠組み「パリ協定」を批准したと共同発表した。米中は温室効果ガスの2大排出国であり、両国の排出量は世界全体の38%に達する。米中両国の批准は、歴史的な一歩だと言っていいだろう。

温暖化対策をめぐり、中国が「責任ある大国」との姿勢を示したことも意義深い。新興国の台頭で米国の相対的な影響力が低下する中、地球規模の問題の解決には中国の関与が不可欠だからだ。

今世紀後半に、世界の温室効果ガス排出量を実質ゼロにすることなどをめざすパリ協定は、批准国が55カ国を超え、その排出量の合計が世界全体の総排出量の55%以上になると発効する。

今月初めの時点では批准国の排出量の合計は約1%だったが、米中の批准で一気に約40%にまで高まった。国際社会は、排出量3.8%で世界第6位の日本の動向に強い関心を寄せている。

わが国では、26日召集予定の臨時国会にパリ協定の承認案が提出される見通しで、政府も年内批准に向け最大限の努力を重ねる方針を示している。公明党は、昨年末に採択されたパリ協定を高く評価しており、先の通常国会でも、協定の実効性を高めることや国内対策の推進を訴えてきた。日本の批准で、協定の年内発効に弾みをつけたい。

11月にはモロッコで国連気候変動枠組み条約第22回締約国会議(COP22)が開かれ、パリ協定に実効性を持たせるための具体的なルールづくりの議論が始まる。このため、今後は、COP22で積極的に発言できるよう批准に踏み切る国が続くと見られる。日本の批准が遅れれば、国際社会で存在感を低下させることになりかねない。

近年相次ぐ記録的な集中豪雨と、その背景に見えてきた地球温暖化との関係。温暖化対策は、そのまま豪雨対策につながるとの視点も持って取り組みを進めていきたい。

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