eプーチン氏、12月訪日 平和条約交渉 進展の好機に

  • 2016.09.06
  • 情勢/解説

公明新聞:2016年9月6日(火)付



両国にとって「未来志向」の関係を構築できるかの試金石となるだろう。

安倍晋三首相とロシアのプーチン大統領は2日、ロシアのウラジオストクで会談し、プーチン氏が12月に訪日することが決まった。同国の大統領訪日は6年ぶりとなる。この決定をまず歓迎したい。

戦後71年たった今も、両国には北方領土問題が立ちはだかり、平和条約を結べない異常な状態にある。両首脳は今年5月、北方領土問題の解決を含む平和条約締結交渉を「新たなアプローチ」で進めることで合意した。12月のプーチン氏の訪日を、交渉を前進させる好機とすべきである。

安倍首相は会談後、平和条約交渉について「具体的に進めていく道筋が見えてきた。その手応えを強く感じた」と強調し、ロシアのラブロフ外相もプーチン氏訪日の際、「結果が報告される」と述べた。12月の首脳会談が大きな節目になるか、注目される。

ただ、両国には温度差がある。日本側がロシアへの経済分野をはじめとした協力拡大と併せて領土問題の解決を図ろうとしているのに対し、ロシア側は経済協力に積極的だが、領土問題で「取り引きはしない」との姿勢を見せている。むしろ北方領土の実効支配をさまざまな形で強めつつある。

経済協力について安倍首相は今回、エネルギー分野での協議会設置など具体案を提示したが、歴史を振り返ると、経済が先行して領土問題が置き去りになることはないかとの懸念もある。それだけに、経済協力の進捗状況を確認するため、安倍首相が首脳会談の定例化を呼び掛けプーチン氏が応じた意義は大きい。

経済協力で日本が極東開発に貢献することはアジア太平洋の発展のために重要なことであるが、ロシアの排他的経済水域(EEZ)でサケ・マスの流し網漁を禁止されたことも忘れてはならない。北海道東部の漁業関係者は代替漁業などに取り組むが、漁獲減で大きな影響を被っている。この問題も引き続き、両国で協議していってもらいたい。

両首脳は11月にもペルーで会談する方針だ。21世紀における新たな関係を築くため、胸襟を開いた議論で交渉を加速させるべきだ。

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