e核実験の禁止 条約発効へ日本の役割大きい

  • 2016.09.05
  • 情勢/解説

公明新聞:2016年9月3日(土)付



宇宙、大気圏、水中、地下など、あらゆる場所での核爆発を伴う実験を禁じる「包括的核実験禁止条約(CTBT)」。1996年に国連総会で採択されてから今月10日でちょうど20年になるが、いまだに発効していない。

この現状を打開しようとする大きな動きが1日にあった。「核兵器のない世界」の実現をめざすオバマ米政権が、全ての国に核実験を自制するよう求める国連安全保障理事会(安保理)決議の草案を全理事国に配布した。安保理の理事国は、草案を基に交渉を進め、決議の採択に向けた合意を形成してもらいたい。

報道によると、最終的に決議を採択することができれば、安保理がCTBTへの支持を明確に打ち出したことになり、CTBTの発効に向けた機運が高まるとオバマ米政権は考えているという。

CTBTの発効には、核兵器保有国に加え、原子炉を有するなど潜在的な核開発能力を持つと見られる国の全てが批准しなければならない。これらの国は発効要件国と呼ばれ、44カ国ある。

発効要件国のうち、核兵器保有国であるロシア、英国、フランスの3カ国を含む36カ国がCTBTを批准。米国、中国、エジプト、イラン、イスラエルは署名しているものの、批准はまだだ。北朝鮮、インド、パキスタンは署名もしていない。現段階では、CTBT発効のめどはまったく立っていない。

核兵器の開発と改良には核実験が不可欠であるだけに、核実験を禁止すれば、「核兵器のない世界」に向けた確実な一歩を踏み出すことになるわけで、CTBTの発効を促す国際世論を一層盛り上げていくことが必要だ。

とりわけ日本とカザフスタンの役割が期待されていることに注目したい。

両国は、CTBT批准国の過半数の要請により、隔年で開催されている発効促進会議の共同議長国を2015年から2年間務めている。カザフスタンには、旧ソ連のセミパラチンスク核実験場があり、多くの被爆者がいる。

被爆の実態をよく知る両国が、核兵器による惨禍を国際社会に広く知らせていくことが重要なことをあらためて確認しておきたい。

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