e若者の地方移住 インターンシップも活用して

  • 2016.09.02
  • 情勢/解説

公明新聞:2016年9月2日(金)付



「将来は地元に戻って就職したいが、魅力的な企業があるのか不安だ」―。

こうした声に応えようと、東京など大都市圏に進学した地方出身の大学生や卒業生に地元での就業体験を促す「地方創生インターンシップ」事業が動き始めた。

政府は、東京など1都3県を除く各道府県や全国の大学に参加を呼び掛けており、関連情報を発信するポータルサイトの立ち上げを急いでいる。同事業は、「大都市圏から地方へ」という若者の流れを国が後押しするものであり、実効性の高い取り組みとなることを期待したい。

「両親の近くで就職したい」「地元に愛着がある」「実家から通えば経済的に楽」といった理由から、出身地での就職を希望するケースは少なくない。地方出身の学生の約半数が故郷での就職を考えているという調査もある。

しかし、就職活動にかかる費用や時間を考えると、大都市圏の企業を優先し、地方の企業まで手が回らないのが実情だ。また、大手求人サイトに情報を掲載するコストは地方企業にとって負担が大きく、都市部の企業に比べて発信力が弱いといわれている。

現在も大学や自治体の中には独自にインターンシップ事業を実施しているところがあるが、全国的な普及には至っていない。

このため今回の事業では、自治体や大学側に対し、学生が地方企業の魅力に触れられるような取り組みを国の制度として支援する。具体的には、(1)産学官の連携により地域でインターンシップを推進する運営組織の整備(2)就業体験の単位認定を検討するなど学生が参加しやすい環境づくり(3)セミナーなどを通じた受け入れ企業へのアドバイス―などを進めていく。

出身地の企業の就業体験の機会を増やすことは、学生らの選択肢を広げることになる。人口減少に悩む自治体の関心も高まるに違いない。

そこで、インターンシップへの取り組みを地方で議論する場として、公明党の提案で行われている「地方版政労使会議」を活用してはどうか。行政や経済、労働の各界に大学などの教育機関の代表者も加えて、具体策を活発に協議してほしい。

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