e五輪・文化プログラム 東京大会へ地方の魅力も発信を

  • 2016.08.12
  • 情勢/解説

公明新聞:2016年8月11日(木)付



ブラジル・リオデジャネイロでは、アスリートたちの熱戦が続いている。日本選手の活躍や感動的なシーンを見て、家庭も職場も連日沸いているに違いない。このリオ五輪・パラリンピックが終わると、世界の目はいよいよ東京大会に注がれていく。

4年後の大会の成否を左右する一つが、「文化プログラム」だ。五輪・パラリンピックの大会閉幕後から、次の開催国で4年間にわたって実施されるこのイベントは、オリンピック憲章の「スポーツを文化、教育と融合させ、生き方の創造を探求する」精神を具体化する取り組みと位置づけられている。

政府は、東京大会までに多くの人が参加できる文化の祭典を各地で実施する計画だ。全国の自治体や文化芸術団体をはじめ、企業やNPO(民間非営利団体)にも参加を募る。音楽、演劇、ダンス、美術、文学、映画、展示会などを通じ、東京だけでなく地方の魅力を世界に発信してほしい。それは、地方再生の追い風になるだろう。

東京と同様、戦後2度目の開催となったロンドン五輪では、シェークスピアの戯曲を約40言語で実演したり、3万4000人の児童にアニメの描き方を教え、児童が映画の制作に参加するなど、多彩なイベントが行われ、成熟した文化国家を印象づけた。英国全土の1000カ所を超す地域で開催され、その半数以上が五輪以降も継続実施されているという。

政府や大会組織委員会は、東京大会の文化プログラム参加に向けた申請の受け付けを今秋にも開始する予定だ。政府は、開催件数の目標を史上最多となる20万件に掲げ、参加アーティスト5万人、参加人数延べ5000万人を見込んでいる。

その意欲は高く評価したい。ただ、文化プログラムの認知度は低いので、しっかり周知してほしい。併せて、参加が認められるための要件を早く示さなければ、自治体などの動きは鈍ってしまう。

文化プログラムを一過性のイベントに終わらせず、観光客誘致や若者の雇用創出につなげたいと意気込む自治体もある。政府は、そうした自治体に対する支援策も検討してもらいたい。

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