eコラム「北斗七星」

  • 2016.08.10
  • 情勢/社会

公明新聞:2016年8月10日(水)付



「マッサン」「あさが来た」に続いて週平均視聴率が、ついに24%を記録したNHK朝ドラ「とと姉ちゃん」。舞台は戦後に移り、雑誌を創刊し悪戦苦闘する三姉妹の活躍が綴られていく◆この雑誌創刊を手助けしたのが花森安治(ドラマでは花山伊佐次)。幾つもの評伝本がある奇才編集者だ。ドラマで絵を描くシーンが何度も登場するが事実、幼少期から秀でていたらしい。小学校の先生が花森の絵を見て「親に手伝ってもらったな」と疑い、目の前でもう一度描かせてみると鮮やかに再現。教師は花森の家を訪れ両親に謝罪したという◆東大で「帝国大学新聞」(当時)の編集に扇谷正造(評論家)らとともに携わった後、広告デザインの仕事などに従事し、その後ドラマでも描かれたように大橋鎭子(ドラマの小橋常子)に請われて「美しい暮しの手帖」(後の「暮しの手帖」)の編集を手掛けるようになる◆花森は徹底して消費者目線で雑誌制作を進めたという。ドラマでもホットケーキの作り方を雑誌に掲載する際、料理経験の少ない社員に実際に作らせてみて解説記事の欠点を指摘。写真をふんだんに使った丁寧な解説記事に変更させている◆新聞も同様。読者に"分かりやすい"と評価してもらうのが何よりも大切だ。伝わらない情報は独りよがりと戒めたい。(爽)

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