eコラム「北斗七星」

  • 2016.08.04
  • 情勢/社会

公明新聞:2016年8月4日(木)付



いよいよリオデジャネイロ五輪が6日(現地時間5日)、開会式を迎える。監督・コーチら含め日本選手団は601人。アスリートたちがどんなドラマを繰り広げるのか。胸が躍る◆五輪で心に残る実況がある。覚えている人もいるだろう。2004年アテネ五輪の体操男子団体決勝。鉄棒の最終試技を始めた冨田洋之選手に、「冨田が冨田であることを証明すれば、日本は勝ちます」と刈屋富士雄NHKアナウンサーが言った後のことだ◆「伸身の新月面が描く放物線は栄光への架け橋だ。決まった。勝った。体操日本、日はまた昇りました。五輪発祥の地で再び頂点に立ちました」。NHKの同五輪テーマソング、ゆずの『栄光の架橋』に演技内容と着地を重ね、表現した刈屋アナ。五輪実況史に残る名セリフだろう◆19世紀末に提唱され復活した近代五輪の原型は紀元前8世紀、ギリシャの各都市国家が集まり始まった競技会だ。開催時期は戦争が多発する農閑期。期間中は休戦協定が結ばれ、「町には喝采があふれた」(桜井万里子・橋場弦編『古代オリンピック』岩波新書)という◆そういえば、「優勝賞品はオリーブの冠」と競技者から聞いたペルシャの武将が、「金品ではなく卓越性を求めて闘うのか」と感嘆した記録も。卓越性を求める平和の祭典。"永遠たれ"と願わずにいられない。(田)

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