e部活動の休養日 生徒、教員の過重な負担避けよ

  • 2016.08.02
  • 情勢/解説

公明新聞:2016年8月2日(火)付



夏休みに入り、全国の中学や高校では合宿や集中練習などで部活動が活発に行われている。部活動は、生徒がスポーツや文化に親しみ、練習や研さんを重ねる中で礼儀や忍耐などを体得することができるため、健全育成に大きな効果があるとされている。

その部活動に「休養日」を設けるべきかどうかが今、議論を呼んでいる。平日だけでなく休日も練習や試合が組まれるケースが少なくないことから、過密な活動が睡眠や学習時間の不足、家族とのコミュニケーションの低下をもたらすとの懸念が生徒や保護者、教員などにあるからだ。

このため文部科学省は、全国の市区町村の教育委員会に対し、部活動に休養日を設けるよう促してきた。しかし、同省が先月発表した調査結果によると、中学校の運動部の部活動に「週1日以上」というように休養日の基準を設定している市区町村教委は全体の3割に満たないことが判明した。同省は引き続き休養日の基準を設けるよう推奨する方針を示している。

われわれは、さまざまな観点から見て、休養日の導入は検討に値するのではないかと考える。各教委は、教育現場の実情を十分に踏まえながら検討を進めてもらいたい。

過密な部活動の影響は教員にも及んでいる。日本の教員の業務負担は国際比較でも重いとされる。経済協力開発機構(OECD)の調査(2013年)によると、全国の中学校教員の勤務時間は週約54時間で、加盟国の中で最も長い。部活動などの課外指導は平均の3.5倍にもなる。これでは授業の準備が遅れたり、健康に支障を来しかねない。過度の負担を避けるためにも、休養日の導入を考えてよいのではないか。

一方、休養日の設定によって練習量が減ると、技術の向上に不安を抱く生徒も出てくる。指導教員とは別に外部指導者の活用も一案だろう。

部活動に対する生徒の情熱や、それに応えようとする教員の意欲を、可能な限り尊重すべきであることは言うまでもない。と同時に、生徒の健全育成という部活動本来の目的が阻害されることがあってはならない。休養日についての論議は、こうした論点を軸に進めるべきではないか。

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