e全国初!期待高まる仙台空港の民営化

  • 2016.07.25
  • 情勢/解説
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公明新聞:2016年7月24日(日)付



東北復興の起爆剤へ
年550万人の利用めざす
路線拡大、増便など促進



仙台空港(宮城県名取、岩沼市)は今月1日から、国管理空港として全国初の民営化をスタートさせ、注目を集めています。民営化を契機に、格安航空会社(LCC)の新規就航も実現し、利用客の利便性も確実に向上しています。東北各県の自治体や民間企業は、観光による地域活性化をめざしており、復興加速の"起爆剤"として、大きな期待を膨らませています。

「わぁ、すごく大きいね!」――。3連休初日となった16日、今月から入場無料になった仙台空港の屋上展望デッキでは、親子連れやカメラを持った航空ファンらが、目の前を通る航空機に興奮していました。ロビーは午前中から混雑予想のアナウンスが流れ、旅行やビジネスなどで各地へ出発・到着する大勢の利用客で活気があります。

仙台空港は仙台市の南東約20キロに位置し、北海道や大阪など国内8都市、ソウルなど海外5都市へのネットワークがあります【図参照】。国内線は1日50便、国際線は週17便が運航(7月1日時点)。年間324万人の旅客に利用されている東北の拠点空港です。

これまで滑走路などは国、旅客ビルと貨物ターミナルは宮城県などが出資する第三セクターが運営していました。民営化によって、東京急行電鉄などが出資する民間会社が、これらを一体的に運営し、民間の経営ノウハウで効率化や空港の活性化を進めていきます。例えば、閑散期の着陸料(滑走路を利用した回数に応じて、航空会社が空港に支払う料金)が割安になる料金設定の導入などが挙げられます。

利用客にとっては、航空会社の費用負担が軽減されることで、路線拡大や便数増が期待できます。実際、利用客増を見込んだ航空各社が動き出しています。アシアナ航空は6月28日、民営化に先立ってソウル線を週4便から7便へ増便。タイガーエア台湾も同29日に新規就航し、台北線を開設しました。

また、利用客が出発直前まで買い物や飲食が楽しめるよう保安検査場通過後のエリアにある商業施設を拡充。外国語対応など総合案内所の機能も強化されます。

こうした取り組みによって、仙台空港は2020年の年間利用客を410万人に、将来的には550万人まで増やすことをめざしています。

ビジネスで北海道に向かう地元在住の60代男性は、「便数が増えると、もっと使いやすくなる」と民営化に期待を寄せています。北京から訪れた30代の中国人女性は、「免税店の充実は、外国人にとって魅力的だ」と語っていました。
昨年、東北6県の外国人延べ宿泊者数は51万人で、東日本大震災前の水準を初めて上回りました。地方自治体や観光業界は、インバウンド(訪日外国人客)の回復を重要視する中で、「復興の軌跡」を新たな観光資源とする復興ツーリズムの推進や、各観光地に無料の公衆無線LANの設置、外国語対応する案内の整備などに力を入れています。また8月下旬には、東北各県の知事らが台湾へ、トップセールスを行う予定で、仙台空港の民営化を契機に、新たな復興の歩みが始まっています。

公明党は国が管理する空港の運営を民間に委託するための民活空港運営法(13年7月施行)の成立を後押し。国と地方のネットワークで、新たな観光振興の推進をはじめ、地方創生につながるよう全力で取り組んでいます。


交流人口の増加に期待


国土交通相(公明党) 石井啓一氏

「東北観光復興元年」となる今年、交流人口のさらなる増加に向けて、東北が大きく飛躍することが期待されます。その中で、今月1日、仙台空港が国管理空港の中で初めて民営化され、力強くスタートを切りました。

民営化を契機に、仙台空港がアジア各国などのインバウンド需要を取り込んで、より多くの人に利用される空港となり、東日本大震災からの復興加速の起爆剤につながることを願っています。

国土交通省としても、仙台空港の活性化に向けて、引き続き最大限の協力をしていきます。

観光で東北を元気に


東北観光推進機構 専務理事 推進本部長 紺野純一氏

仙台空港の民営化は、東北復興の"大きな力"になります。東北地方のゲートウェイ(玄関口)空港としての役割が高まります。仙台を起点とした東北各県を結ぶ、多彩な広域周遊ルートをつくり、またLCCなどの海外からの直行便が増えることを大いに期待しています。

観光は裾野が広い産業です。交流人口の増加により、交通、宿泊、飲食をはじめ、多くの産業に経済効果と雇用創出を生み出します。今回の民営化は、地域活性化に向けた千載一遇のチャンスです。

今こそ観光の力で、東北を元気にしてまいります。

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