e バリアフリー教育 障がいへの理解深める契機に

  • 2016.07.20
  • 情勢/解説

公明新聞:2016年7月20日(水)付



障がいの有無にかかわらず、誰もが互いに個性を尊重し合う「共生社会」の実現へ―。障がいへの理解を深めるバリアフリー教育が、その大きな推進力となることを期待したい。

政府は15日、共生社会への取り組みを検討する有識者会議を開き、2020年東京五輪・パラリンピックを契機に施策を進める計画「ユニバーサルデザイン2020」の中間取りまとめ案を公表した。

この中で注目したいのが、支え合いの意識を醸成する「心のバリアフリー」に関する提言であり、特に学校教育における取り組みだ。

具体策としては、20年以降の学習指導要領の改訂で、道徳を中心に「思いやりの心」を大切にすることや、障害者差別解消法などの社会の仕組み、さらには障がいのある人への接し方などを学ぶ指導・教科書を充実させる。音楽、図画工作、美術、体育などでも、そのような要素を盛り込んでいく。今回の計画により、これまで一部の学校で実施されていたバリアフリー教育を、すべての児童・生徒が体系的に学ぶことになる。大いに歓迎したい。

さらに、計画では障がい者との交流や活動を深める授業を全面的に展開するとした。例えば、障がいのある芸術家やスポーツ選手を講師に招いたり、特別支援学級の児童・生徒と一緒に授業を受けたりすることを想定している。

コミュニケーションを通じた体験や感動がなければ、本物の「心のバリアフリー」は生まれない。このため計画では、障がい者との共同学習を進めようと、文部科学省と厚生労働省を中心に「心のバリアフリー学習推進会議(仮称)」を設け、自治体単位で関係部局や社会福祉法人などのネットワークづくりを促進することが強調されている。

バリアフリー教育を行う教員の中には、授業のイメージがつかめず戸惑う人もいるだろう。教員研修の充実・強化はもちろん、モデル校の育成などによって参考事例を広める試みも必要ではないか。

地域の実情に応じたバリアフリー教育を各地で推進していくため、公明党は、現場の声に基づいた政策を国や地方で積極的に提言し、実現に全力を挙げていく。

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