eコラム「北斗七星」

  • 2016.07.13
  • 情勢/社会

公明新聞:2016年7月13日(水)付



朝夕の電車で、大きな荷物を抱えた家族連れを見る季節になる。妻子を実家に送り出し、家でごろ寝もいいが、罪滅ぼしの家族旅行も捨て難い◆旅行ジャーナリストの村田和子さんは「旅での経験は人生を豊かにし、生きる力へとつながる」(6月26日付・朝日新聞)と、「旅育」を提唱する。この身に置き換えてみても、沢木耕太郎の『深夜特急』を片手にインドに向かったことが、人生の肥やしになっている。あの高揚感を、少年時代に味わわせてやりたいものだ◆旅育の方法として村田さんは、(1)計画や準備に積極的に参加させる(2)役割や目標を決め、ほめる(3)旅先で家族別々に過ごす時間をつくる―などを挙げる。ある調査では、成人までに20回(年1回)以上、家族旅行した子どもは、我慢強い、思いやりがある、協調性がある、といった傾向が見られるという◆手前勝手ながら、行き先の選択肢に九州はどうか。南阿蘇では地震後、60店舗を超える飲食店が営業を再開。「地割れも阿蘇の大自然の一部。火山と同じように見に来てほしい」(キャンペーン広告から)と呼び掛ける。震災に負けない人間の底力を感じるはずだ◆心理学者、トーマス・ギロヴィッチ氏の研究によると、物より経験にお金を使う方が幸せになるという。生きる力につながる経験を積む夏にしたい。(也)

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