e渋滞の緩和 事故と時間ロス減少へ知恵絞れ

  • 2016.05.09
  • 生活/生活情報

公明新聞:2016年5月4日(水)付



4月末からの大型連休も、もう後半。自動車旅の道中、交通渋滞に遭遇してイライラさせられた人は多いのではないか。短い間隔でアクセルとブレーキの操作を続けていると、疲れがたまり運転は漫然となりがちだ。都市間高速道路における渋滞時の事故率は、通常時の40倍以上に達するという研究結果がある。

失われる時間も膨大だ。国土交通省の試算によると、昨年に全国の高速道路で渋滞によって利用者が無駄にした時間は全区間で2億時間に上ったという。一般道も含めると道路移動時間の約4割が渋滞で失われている。排出ガスによる環境破壊も課題である。

国や高速道路各社は、ただ手をこまぬいているわけではない。自動料金収受システム(ETC)の導入や、未整備区間の解消を進めて渋滞の緩和に努めている。4月には、割安な高速道路に車が集中しないよう、首都圏で高速道路の出入り口が同じであれば、どのルートを通っても料金を原則として同じにした。

こうした取り組みにより渋滞は緩和傾向にあるが、訪日外国人の受け入れ拡大などで道路利用が広がることを考えれば、一層力を入れる必要がある。国交省が3月に立ち上げた、一般道の渋滞緩和策を議論する有識者検討会では、国内外の先進事例を参考に知恵を絞ってもらいたい。

例えば、渋滞発生の大きな原因である路上工事の工期縮減策として、英国の「レーンレンタル制度」が挙げられる。道路が混雑する時間帯や場所に応じて、工事を担う事業者に道路管理者が道路のレンタル料を課金する仕組みで、徴収分は渋滞緩和に有効な路上工事関連の技術開発などに充てられる。

これにより、課金区間・時間帯における路上工事は減少。ロンドンでは工事による交通分断が46%減った。事業者への負担もさほど大きくなく、同制度は好意的に受け止められているという。

一方で、運転者の注意も強く求めておきたい。全ての自動車が40メートルの車間距離を取れば、高速道路で渋滞は発生しないという研究もある。きょうを入れて残り5日間となった大型連休。最後まで楽しく過ごすため、ゆとりを持った運転を心掛けたい。

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