eコラム「北斗七星」

  • 2016.04.22
  • 情勢/社会

公明新聞:2016年4月22日(金)付



阿蘇見物に来た豆腐屋出身の圭さんは、高等遊民らしき友人の碌さんを誘って阿蘇山に登る。しかし、火口にたどり着く前に嵐に遭遇し、くぼみに落ちてしまう◆激しい風雨の中、碌さんは腹痛や足にできた豆の痛みに耐えながら、力を振り絞って彼を救う。宿に戻った2人は、再び「阿蘇へ登ろう」と意気投合したところで小説は結末を迎える。夏目漱石の短編「二百十日」は、自然災害と人間を題材にして人の情けを伝えたいのだろうか◆強い余震が続く熊本地震の被災自治体では、ボランティアを募る動きが出てきた。21日開設された熊本県益城町の「災害ボランティアセンター」には、雨の中、多くの志願者が集まったそうだ◆活動中の事故や病気を防ぐため、決して無理をせず、まめに休憩を取ることが大切だ。被災者に触れ合う場面も少なくないだけに、信頼関係を築きながら不安な気持ちに寄り添う振る舞いを心がけてほしい◆不自由な避難所生活でストレスがたまり、疲労も蓄積している被災者にとって、ボランティアが活躍する姿は心強く映るだろう。ただ、現地に行けなくても、募金などで協力はできる。一人でも多くの人の助け合いによって、この困難を早く乗り越えたい。熊本で4年余を過ごした明治の文豪も、居ても立ってもいられないに違いない。(明)

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