e安全の廃炉へ知見共有

  • 2016.04.12
  • 情勢/テクノロジー
[画像]メインイメージ

公明新聞:2016年4月12日(火)付



住民視点に立って 対話による信頼構築を
福島で第1回国際フォーラム
東電第1原発



東京電力福島第1原発の現状を国内外に発信する「第1回福島第1廃炉国際フォーラム」が10、11両日、福島県いわき市で開かれた。経済産業省と原子力損害賠償・廃炉等支援機構(NDF)が主催し、国際原子力機関(IAEA)や経済協力開発機構原子力機関(OECD/NEA)のほか、国内外の関係機関や専門家ら、世界15カ国から600人以上が参加。林幹雄経産相や高木陽介経産副大臣(原子力災害現地対策本部長=公明党)、内堀雅雄県知事らが出席した。

開会あいさつで林経産相は、「廃炉に関する国内外の研究成果や地元とのコミュニケーションのあり方などを議論すべく、国際機関や地元住民、学生らが参加する世界初のフォーラムを開催した」と強調した。

10日には、山名元NDF理事長が第1原発の廃炉汚染水対策について講演し、「環境や住民に影響を与えない低リスク状態を早く確保し、地元の方々が故郷の復興に向かえるよう、合理的な廃炉戦略の構築に全力を挙げる」と語った。

また、ウィリアム・マグウッドNEA事務局長とファン・レンティッホIAEA事務局次長の講演では、廃炉作業が大きく進捗し、作業員の作業環境も着実に改善しているとの認識が示された。その上で、マグウッド氏は「廃炉は技術的課題だけでなく、地元住民の生活がかかっていることを忘れてはならない」とし、(1)遠隔作業、ロボットの技術開発(2)廃棄物管理戦略の確立(3)原発安定化に向けた進捗状況の透明性向上―などの重要性を指摘した。

一方、2日間を通じて「溶け落ちた核燃料(燃料デブリ)取り出しの方途」「廃棄物対策」など、テーマごとのトークセッションも行われ、「地域社会とのコミュニケーション」のセッションでは、廃炉を安全、着実に進める柱として「暮らしの視点を重視し、住民との双方向の対話を通じた信頼関係を構築する重要性」などが確認された。

さらに会場では、第1原発への導入をめざして開発されたロボットなどが展示・実演されたほか、国内外の企業や、研究機関などが廃炉研究の成果を出展し、参加者らが熱心に見入って意見を交わしていた。

閉会のあいさつで高木副大臣は、「今回の取り組みは第一に被災者のためであり、県民が安心だと思ってもらえることが重要。各国や国際機関が有する知見、経験を学び、廃炉を希望と勇気のキーワードのもと、必ず実現していく」と決意を述べた。=関連記事

月別アーカイブ

iこのページの先頭へ