e経済成長へTPP生かせ

  • 2016.04.06
  • 政治/国会
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公明新聞:2016年4月6日(水)付



中小の海外展開後押し
承認案・関連法案が審議入り



日米など12カ国が合意した環太平洋連携協定(TPP)の承認案と、発効に向けて国内制度を整備する法改正案11本をまとめた関連法案が5日、衆院本会議で審議入りし、公明党から稲津久氏が質問に立った。


衆院本会議で稲津氏 強い農業へ具体策を


稲津氏は、TPPの意義について、「わが国が人口減少社会に突入し右肩上がりの経済成長が望めない状況にある中、産業界全体にとって大きく市場が広がり、商機が到来する」と指摘。TPPを生かし経済成長や国益増進につなげる観点から、中小企業や小規模事業者が海外展開に踏み出せるよう促す必要性を力説した。石原伸晃TPP担当相は、相談窓口の整備など「今後とも政策を総動員して支援していく」と応じた。

また、農水産物の輸出促進に関して稲津氏は、北海道の「夕張メロン」など12産品が既に登録されている地理的表示(GI)保護制度について、TPP加盟国に「ジャパンブランド」を発信するため、登録数を増やすよう訴えた。安倍晋三首相は、2020年までに各都道府県で1産品以上の登録をめざす考えを示した。

一方、農林水産物の輸入をめぐる協定の内容について稲津氏は、コメなどの重要5項目を「例外なき関税撤廃」の対象から除外するよう求める国会決議に沿うものか、政府の認識を聞いた。石原TPP担当相は、重要5項目を中心に国家貿易制度の堅持やセーフガード(緊急輸入制限)などの有効な措置を獲得したとして、「国益にかなう最善の交渉結果が得られた。国会決議の趣旨に沿う」と述べた。

その上で稲津氏は、担い手不足が深刻化する国内の農業の現状を踏まえ、「TPPのあるなしにかかわらず、農業を成長産業としてよみがえらせなければならない」と述べ、体質強化や経営安定に向けた具体策を展開するよう強調。安倍首相は、今年秋をめどにさらなる体質強化策を打ち出す考えを示し「公明党とも緊密に連携し、実効性のある施策を講じる」と述べた。

さらに稲津氏は、農業経営の大規模化や効率化が難しい中山間地域について、「このままでは荒廃農地が増え、地域農業の維持が困難となる」と訴え、同地域の農家や生産組織に対する「中山間地域等直接支払交付金」の拡充などを求めた。


環太平洋連携協定(TPP)


日米のほか、チリ、オーストラリアなど12カ国が参加し今年2月に署名。農産品・工業品の関税削減・撤廃のほか、投資や知的財産権など幅広い分野で共通ルールを導入する。域内の人口は計約8億人、世界の国内総生産(GDP)総額の4割近くを占める。発効には、少なくとも「GDPで加盟国全体の85%以上を占める6カ国以上の批准」との条件をクリアする必要があるため、全体のGDPの約60%を占める米国と約17%の日本での承認が不可欠。

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