eコラム「北斗七星」

  • 2016.03.28
  • 情勢/社会

公明新聞:2016年3月28日(月)付



鳥取県米子市で、障がいのある人とプロの俳優が共演する「じゆう劇場」の『「ロミオとジュリエット」から生まれたもの』を見た。障がいがある劇団員は、自由を求める若者たちを熱演。爽快でエネルギーに満ちたシェークスピアになった◆じゆう劇場をプロデュースするのは、本紙コラム「すなどけい」でお馴染みの演出家・中島諒人氏と、氏が主宰する、鳥取市鹿野町を拠点に活動する劇団「鳥の劇場」だ。鳥取県が全面的に支援する◆一昨年には、鳥取市で開催された「全国障がい者芸術・文化祭」で、チェーホフの『三人姉妹』を上演し反響を呼ぶ。じりじりと運命に追い立てられながら、それに抗って生きる人間の姿が胸に迫る、堂々たるチェーホフだった。次回作は、宮沢賢治の『銀河鉄道の夜』だという。とても楽しみだ◆4月1日に障害者差別解消法が施行される。法律は、障がいを理由とした不当な差別的取り扱いを禁じ、公的機関や民間企業に対して、過重な負担にならない限り、必要な配慮を求める◆わが国は2014年に国連障害者権利条約を批准。障がい者の社会参画や共生社会の実現に向けた取り組みが加速している。「一緒につくる、協働する」に心を配った、じゆう劇場の「舞台作り」に、あるべき共生社会のモデルを見たような気がする。(中)

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