eコラム「北斗七星」

  • 2016.03.23
  • 情勢/社会

公明新聞:2016年3月23日(水)付



先日、本棚を片付けながら何気なくめくった本に、「私の経験からいうと、ある日とつぜん『あぁ、そうだ、あれを片づけなくちゃ!......でも、明日でもいいか』と思ったとたんに老いがはじまる」とあった◆思わず目が吸い寄せられ、さらに読み進むと、「『明日でもいいか』はあさってでもいいか、になり、来週でもいいや、と、老いは日毎にひた走って一路『老衰』へと接近してゆく」と◆そして文章は、「明日でもいいか、は、他人にはわからない自分だけの老いのサイン」と結ばれていた。本の題名は『にんげん住所録』(文春文庫)。筆者は、大女優で名エッセイストの高峰秀子さんだった◆指摘されるような兆しが最近わが身にも出始めている。例えば友人との付き合い方。以前なら、「彼はどうしているかな」と思ったらすぐ電話をかけたが、今は面倒になってしまい、つい先送り◆これも「老いのサイン」か?......と、先の三連休、以前から訪ねたかった兵庫県へ思いきって行ってきた。まだ寒く強行軍だったが、疲れるどころか元気になったから不思議だ◆「したいと思ったことはやれる時にやっておく。(中略)そう思って行動していると、不思議と人間元気になる」。元吉本興業マネジャーの大谷由里子さんが「朝日新聞」で言っていたことをふと思い出した。(六)

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