eTPP関連法案 「攻め」と「守り」の農業対策

  • 2016.03.22
  • 情勢/社会
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公明新聞:2016年3月22日(火)付



牛・豚肉の赤字補てん法制化へ
公明の主張が反映



政府は、日米など12カ国が署名した環太平洋連携協定(TPP)の発効に向け、今国会で承認案の承認と関連法案の成立をめざす方針だ。近く衆院特別委員会が設置される見通し。

関連法案は、計11本の改正案をまとめた一括法案で、最も重要視される農林水産分野は4本。公明党の主張を随所に反映した「総合的なTPP関連政策大綱」に沿って、TPPのメリット(利点)を生かす「攻め」と、影響を最小化する「守り」の両面から対策を盛り込んだ。「守り」の柱となるのは「畜産物価格安定法改正案」。牛・豚肉がTPP発効に伴う関税削減で安価な輸入品と競争にさらされるのに備え、牛・豚肉生産者の経営安定化を支える「経営安定対策事業」(マルキン)の仕組みを規定する法案だ。

同事業は、牛・豚肉生産者の経営に赤字が出た際、国と生産者が積み立てている基金から赤字分の8割を補てんする内容。TPP発効後、長期に及ぶ牛・豚肉の段階的な関税引き下げに対し、生産者の資金繰りを下支えして不安を払しょくし、農業の再生産を確保できるように支援する。法案では、毎年の予算措置として実施している同事業の仕組みを法制化することで、恒久的な制度にしていく。また、基金の国庫負担割合を拡充し、赤字分の補てん率を現在の8割から9割に引き上げるとした。

関連法案のほか、今年1月に成立した2015年度補正予算では、地域ぐるみで酪農や畜産の収益向上をめざす「畜産クラスター事業」の拡充や、高性能機械の導入を支援する「産地パワーアップ事業」の創設などを盛り込み、政策大綱の具体化に着手している。

公明党は、昨年11月にTPPの国内対策を政府に提言。さらに、同年11月の衆院予算委員会で石田祝稔政務調査会長が、同年12月の衆院農林水産委員会などの連合審査会で稲津久氏が現場の農家からの要望を踏まえ、経営安定対策事業拡充の早期実施を求めていた。


生産者の安心に結び付く


全国農業協同組合中央会(JA全中)常務理事 大西 茂志 氏


TPP関連法案に盛り込まれた畜産の経営安定対策事業の法制化は、生産者の営農意欲を引き出すだけではなく、将来への安心感に結び付いていくもの。まさに生産基盤の強化が必要な地方の生産現場にとっては希望の礎となる。

TPPは発効してから現実的にどう影響が出てくるのか分からないが、畜産・酪農に最も大きく及ぶと懸念される。その点、公明党の心配りには感謝を申し上げる。

引き続き、農家の目線で息の長い政策支援を期待するとともに、TPPに不安を抱える国民に説明責任を尽くすことを望んでいる。

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