e若い世代の声をまちづくりに

  • 2016.03.18
  • 情勢/社会

公明新聞:2016年3月18日(金)付



今夏の参院選挙から「18歳選挙権」が導入され、18、19歳の未成年が投票できるようになる。こうした若者が、政治や行政にどう結び付いていくのか。若い世代の声を行政がくみ取り、実際のまちづくりに生かす各地の取り組みを追った。


「若者議会」で政策議論


福祉・防災など6事業


愛知・新城市
愛知県の東部に位置する新城市。同市は2015年度から、10代、20代の若者が意見を出し合い、具体的なまちづくりの政策を立案する「若者議会」(市長の諮問機関として位置付け)を設置している。

設置するきっかけとなったのが、市が14年度に開催した「若者政策ワーキング」。若者に関わる政策を議論する中で、参加者から、ヨーロッパなどで行われている若者議会を市にも設置してほしいと声が上がり、市議会の承認を得て、開設されることが決まった。

若者議会の参加者は、市内に在住・在学・在勤している、おおむね16~29歳を対象に募集。ここから選考された高校生、専門学校生、大学生、会社員の計20人が"議員"になっている。市区町村議会と同じように、参加者は「議長」や「副議長」などの役割も担う。さらに、テーマごとに6チームに分かれて、それぞれ政策を立案する。

全体会議(全16回)のほか、チームごとでの会議を開くなど、活発な議論を展開。提案された政策には、若者らしい意見が盛り込まれている。

例えば、「ふるさと情報館リノベーション事業」では、市の「ふるさと情報館」の展示スペースを幅広い世代が活用できるよう改修するプランを提出。市の担当者と意見を交わしながら、最終的な事業内容を決めた。

昨年11月には、これまで重ねた議論を基に、市長に福祉や防災など6事業からなる「若者予算事業に関する答申書」(予算総額は約1000万円)を提出。この内容が反映された16年度予算案は、市議会で、きょう18日に可決され、16年度から実行に移される見込みだ。

若者議会に参加した竹下修平さんは「立ち振る舞いや話し方、考え方など、皆が成長できた。若者の地域に対する意識が高まったことが、若者議会の大きな成果」と語った。市は16年度も、新たな参加者を募集し、若者議会を実施する予定だ。


意見を基に情報アプリを改良


山口・宇部市
山口県宇部市でも、同様の取り組みが行われている。

同市では、若者の視点や意見をまちづくりに生かそうと、「若者会議」を14年度から実施している。自由に市政に対する提言ができるようにすることで、暮らしやすいまちをアピールし、若い世代の定住を促す狙いがある。

同市には、まちの情報を共有できるアプリ「ネイティブ宇部」がある。以前のアプリは、道路の陥没などまちの異常箇所を市へ知らせるものだった。若者会議の参加者は、このアプリに着目。市民がおすすめスポットなどを投稿・共有できるよう、改良策を提案。今年2月から、改良されたアプリが運用されている。

市の担当者は「行政に関する情報を提供すれば、若者の目線でまちづくりを提案してくれる。行政から若者に積極的に情報が届くようにすることが大切」と話していた。


「18歳選挙権」機に仕組みづくりが必要


中央大学特任准教授 NPO法人Rights代表理事
高橋亮平氏

各地でいわゆる「若者議会」の取り組みが広がっているが、若者の声を聞いて実現しようとする試みは非常に価値がある。

今、「18歳選挙権」の導入をきっかけに、問題意識を持った若者の声を、政治に反映させる仕組みづくりがさらに必要になっている。

また、高校での政治教育のあり方が大きく変わる。「政治的中立性を保たなければいけない」という教育現場の声もあると承知しているが、国政選挙に限らず、若者により身近な地方自治は教育現場でも取り上げることはできるはずだ。

公明党は、若者の意見などを反映し、被選挙権年齢の引き下げを検討する方針を打ち出して、2月には党内にプロジェクトチームを発足させた。こうした点を見ても、公明党は「若者参画政策」の"リーディング政党"だと認識している。政権与党として、若者のための政策を実現できるようにしてもらいたい。

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