e非現実的な給付つき税額控除

  • 2016.03.17
  • 情勢/社会

公明新聞:2016年3月17日(木)付



現段階の導入"絵に描いた餅"
選挙目当てで主張する民主党



「給付つき」の問題点
●痛税感の緩和を実感できない
●公正・公平な運用が困難
●国民に手間と負担を強いる
●税務署や役所が対応できない


与党が2017年4月の消費税率10%への引き上げとの同時導入を決めた「軽減税率」に対して、民主党は「世紀の愚策」などと批判。一方で給付つき税額控除の方が「あらゆる点で軽減税率よりも優れている」と強弁、法案まで提出していますが、国民を惑わすデタラメです。

法律に盛り込まれた検討すべき恒久的な低所得者対策の中から、軽減税率の導入が決まり、給付つき税額控除が採用されなかったことには、理由があります。

まず、「痛税感の緩和を実感できない」点です。給付つき税額控除は、低所得者のうち所得税などの納税者には減税し、減税しきれない納税者や課税最低限以下の所得の人には現金を給付する制度。このため減税や給付はかなり後になり、日々の買い物の際には負担が軽減されず、痛税感を緩和できません。

さらに「制度を公正・公平に運用するのが極めて難しい」点です。対象となる低所得者を絞り込む基準となる所得や資産を正確に把握するのは、現状では困難です。所得把握などのためにマイナンバー制度が始まりましたが、定着するのは先の話です。

「資産の把握はいらない」との主張もありますが、「所得がゼロでも親の資産を食いつぶして悠々自適に暮らす人もいるし、会社員と自営業者では所得の把握率に差が生まれている。所得の多少だけで給付対象を決めてしまうと、不公平を助長する可能性がある」(神野直彦・東京大学名誉教授)のです。

また、「国民に手間と負担を強いる」という問題点もあります。減税や給付を受けるには、国民一人一人がわざわざ税務署や役所に申請をしなければならない上、給付申請には「『スティグマ(貧困というらく印)』が伴うことが知られており、申請をためらう人々がいると推測される」(諸富徹・京都大学教授)。実際、消費税率8%への引き上げの際に実施された「簡素な給付措置」では、申請していない人が相次いでいます。

同時に、減税や給付の申請が膨大な数に上るため、申請を受け付ける側の「税務署や役所も対応できない」と想定されます。民主党政権時代の国会審議でも、「国税当局だけでやるのは非常に難しい」(財務相)、「(地方自治体でやると)実務上いろいろ課題が当然出てくる」(総務相)と民主党出身の閣僚が導入は困難と認めていました。

以上のように現段階では給付つき税額控除は「"絵に描いた餅"に過ぎない」(公明党の山口那津男代表)のであり、来年4月から実現可能な低所得者対策は軽減税率しかありません。

それにもかかわらず、民主党が今なお給付つき税額控除を強弁するのは、政府・与党が進める軽減税率に反対するためだけの、同党お得意の"選挙目当て"のパフォーマンスにすぎないようです。

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