e福島新エネ構想 水素社会実現の一大拠点に

  • 2016.03.10
  • 情勢/社会

公明新聞:2016年3月10日(木)付



東京電力福島第1原発の事故から5年を迎える。未曽有の大災害をきっかけに、日本はエネルギー政策の立て直しを余儀なくされている。その答えとして公明党が強く訴えているのが、再生可能エネルギーの普及拡大だ。

原発事故の被災地である福島県は、全国でも屈指の取り組みを見せている。2040年までに県内需要の100%に当たる再エネを生み出す目標を掲げた。

すでに、沖合に風力発電を浮かべる「浮体式洋上風力発電」や、県民から資金を集めて事業利益を分配する「県民参加型ファンド」による太陽光発電が整備されている。浜通り地域に先端産業を集積する「イノベーション・コースト(国際研究産業都市)構想」では、エネルギーの地産地消を進める。

この動きに呼応するように、政府は福島県を再エネの一大拠点とするため、「福島新エネ社会構想実現会議」の設置を決めた。再エネから燃料電池車1万台分の水素を作り出し、20年の東京五輪・パラリンピックで活用することなどを検討する。これが実現すれば、世界各地から訪れる人々に福島の再生を実感してもらう好機となるに違いない。

水素は燃焼しても二酸化炭素(CO2)を出さない、環境にやさしいエネルギーだ。ただ、現在は水素を作り出す段階で化石燃料が使われているためCO2が発生している。福島で再エネを使って水素を作る技術が確立されれば、CO2を全く出さない"夢のエネルギー"として水素の普及は加速するだろう。

実現会議では、風力発電に立地が適している阿武隈山地で発電設備を増強するための送電網整備や、環境影響評価の期間短縮、バイオマス発電の燃料になる未利用材の安定供給についても協議していく。月内にも関係省庁や電力会社で会議を立ち上げ、今夏までに具体的な計画を取りまとめる予定である。

計画の策定・実行に当たっては、地域活性化の視点が必要だ。福島市の土湯温泉では、地熱発電の見学や温泉熱を利用して栽培した熱帯フルーツの試食など、再エネと観光を組み合わせたツアーを行っている。こうした事例も参考に検討を進めてもらいたい。

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