e個性を尊重し合う社会へ

  • 2016.02.22
  • 情勢/社会
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公明新聞:2016年2月22日(月)付



障害者差別解消法 4月施行
指針策定を義務付け
公明が法整備を主導



誰もが個性を尊重し合える共生社会を実現するため、障がいを理由とした差別を禁止する障害者差別解消法が4月に施行される。同法の概要と日本障害フォーラム(JDF)の松井逸朗代表のコメントを紹介する。


日常生活に必要な配慮求める


車いす利用者の手助けや筆談など


障がい者への差別を禁じ、社会参加を促す取り組みは国際社会の潮流となっている。発端は2006年、国連で障がい者の社会参加などを進めるための権利条約が採択されたこと。以降、各国で法整備が進められ、日本でも障がい者の自立支援法、総合支援法、虐待防止法などの法整備が相次いで行われた。

障害者差別解消法が13年6月に成立したことを踏まえ、国内の法律が条約の定める水準に達したとして、日本も14年に障害者権利条約を批准した。同法の内容について、十分な周知期間が必要だと判断されたため施行は16年4月となった。

差別解消法は、国の行政機関や自治体、民間事業者が、障がいを理由として差別することを禁止している。差別として想定されるのは、障がいを理由に、窓口対応の順番を後回しにしたり、レストランなどが入店拒否することなど。すでに国は差別の具体的内容を示すガイドライン(対応指針)を提示。自治体や事業者ごとの指針も現在、策定作業が進められている。

また、同法は、過度の負担にならない範囲で障がい者の手助けをする「合理的配慮」を行うことも定めている。配慮の内容は個別の状況に応じて異なるが、例えば車いす利用者が乗り物に乗るのを手伝ったり、筆談や文章を読み上げたりすることなど。

合理的配慮は国や自治体には義務化されているが、民間事業者の場合、提供するサービスが事業ごとに異なることから、一律の義務付けはされておらず、努力義務となっている。

差別解消法には、違反そのものに対する罰則がない。ただ、行政は、事業者に報告を求めたり、助言や指導、勧告ができる。事業者が報告をしなかったり、虚偽の報告を行った場合には罰金を科すことができる。

さらに、障がい者の身近な相談窓口として、障がい者団体や医師、有識者による「障害者差別解消支援地域協議会」を設置できるようになった。政府は、都道府県や市区町村に同協議会の設置を促すとともに、そこに寄せられる相談内容や解決策を集約して全国に発信していく考えだ。ただ、協議会の設置は義務ではないこともあり、自治体の準備が十分に進んでいるとは言い難い。法律の施行を契機に設置を加速することが急務だ。

公明党は、関係団体などとの意見交換を重ね、障害者差別解消法の成立を一貫して主導してきた。昨年11月には党障がい者福祉委員会の高木美智代委員長(衆院議員)らが、日本障害フォーラムの松井逸朗代表らとともに、衆参両院の議長に今年4月の法施行に向けたガイドラインの策定を要望。関係団体の声を国会や行政などに届け、対応を強く促してきた。


「差別しない心」の広がりを期待


日本障害フォーラム
松井 逸朗代表


多くの方のご努力を頂き、わが国でも障がい者に対する社会の理解が年々深まっています。問題になるような差別を受ける機会も減っていると感じています。

障害者差別解消法の施行は、障がいを持つ人と、そうではない人がお互いを理解し、尊重し合える環境づくりを、さらに進める契機となるものです。「差別をしない」という良識が、今後、一人でも多くの人の心に根付いていくよう、期待しています。

障害者差別解消法は公明党の尽力があって成立したもので、大変感謝しています。公明党には、障がい者をはじめ立場の弱い人々への深い理解があります。引き続き、誰もが安心して仲良く暮らせる社会づくりに取り組んでほしいと思います。

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