e民法の最高裁判決 国会は夫婦別姓の議論深めよ

  • 2015.12.21
  • 情勢/解説

公明新聞:2015年12月21日(月)付



最高裁判所が、民法の定める「女性の再婚禁止期間」を違憲、「夫婦同姓」は合憲とする初の憲法判断を示したことで、国会は立法府としての対応を迫られている。


国会はまず、離婚後6カ月を過ぎないと女性の再婚を認めない民法733条が違憲とされたため、「再婚禁止期間」を改正しなければならない。


もう一つは、夫婦は婚姻の際に定めた夫か妻の姓を名乗る「夫婦同姓」を定めた民法750条の扱いである。合憲だから「国会が対応する必要はない」と割り切れるほど簡単な問題ではない。


なぜなら、「夫婦同姓」を「夫婦別姓」または、結婚時に同姓か別姓かを選択できる「選択的夫婦別姓」に変えるための議論が国会で長年続けられ、政府の法制審議会(法相の諮問機関)も1996年に「選択的夫婦別姓」導入を答申に盛り込んでいたからだ。この議論を途絶えさせてはならない。


現在は、夫と妻が協議して姓を決める制度であるが、96%(2012年)が夫の姓で、現実には女性に不利に働いている。男女平等に反するとの主張に対し、今も国会論議、世論調査では賛否二分の状態である。しかし、社会的関心も高く、政府が取り組む男女共同参画社会の推進にとっても大事なテーマだ。議論を深める必要がある。


最高裁は判決理由の中で「選択的夫婦別姓」に言及し、「合理性がないと断ずるものではない」「この種の制度の在り方は、国会で論じられ、判断されるべき事柄にほかならない」と明言。さらに、姓が「人格権の一内容を構成する」と述べ、姓を改める者が喪失感を抱いたり、従前の姓を使用する中で形成された個人の信用、評価、名誉感情にも影響が及ぶなど不利益が生じることは否定できないとまで判示した。


これを読むと、最高裁は「夫婦同姓」を積極的に合憲にしたというより、公明党の山口那津男代表が述べたように「司法の抑制的立場での立法府への期待を示したものと受け止めるべき」であろう。


公明党は「選択的夫婦別姓」を01年に議員立法で国会提出している。これからも、他党と連携して積極的議論を進める。

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