e新興国への影響に十分配慮を

  • 2015.12.21
  • 情勢/解説

公明新聞:2015年12月19日(土)付



米国の中央銀行にあたる連邦準備制度理事会(FRB)は、フェデラルファンド(FF)金利の水準を一定にするための誘導目標の引き上げを決めた。FF金利とは、米国の金融機関同士がお金を貸し借りする際の金利で、住宅ローンや企業への融資など、あらゆる金利に影響する。


2008年のリーマン・ショック後、深刻な金融危機に直面した米国は、FF金利の誘導目標を年0%から0.25%の幅に抑える「ゼロ金利政策」を実施。これにより、金融機関の貸出金利もゼロ近くに据え置かれ、企業がお金を借りやすくなったことで、景気のさらなる悪化を防いできた。


今回の決定は、金融危機以降、7年間続いた事実上のゼロ金利政策に終止符を打つものである。近年、経済の好調を維持する米国が、ついに金融危機から抜け出したことを示す決断であるといえよう。


一方で、FRBは、今回の利上げが特に新興国の経済に与える影響を考慮し、今後の利上げのペースを慎重に調整していくべきである。


多くの新興国企業は、金利の低いドル建てでお金を借りている。今回の利上げによる金利負担で、ドル建て債務の返済に行き詰まり、自力で資金調達できなくなる新興国企業が多数出る恐れがある。


この危険性を警告しているのが国際通貨基金(IMF)である。IMFが10月に発表した「国際金融安定性報告書」によると、主要な新興国の企業が抱える債務は、14年に約18兆ドル(約2200兆円)と10年前の4.5倍に急増し、金利上昇に耐えられなくなっているという。国別に見ると、中国とトルコ、チリの企業の債務増加が著しい。


新興国では国営企業が多く、国が企業の借金を肩代わりすることになれば、大きな経済的ダメージを受けることになるとIMFは指摘する。


新興国経済の減速は、輸出の減少などを通じて日本の景気を押し下げかねない。公明党の山口那津男代表は「中国など日本と関係の深い国々に及ぼす影響も注視しながら、アベノミクスの流れが損なわれないように対応すべきだ」と指摘した。日本政府は、きめ細かな経済・金融政策を実施していくべきである。

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