eアレルギー基本法 給食の事故から子どもを守れ

  • 2015.12.14
  • 情勢/解説

公明新聞:2015年12月12日(土)付



アレルギー疾患対策の基本理念を定めた「アレルギー疾患対策基本法」が、今月25日に施行される。


基本法は、国や自治体などの責務を明記した上で、国には各省庁にまたがる総合的な対策を推進するための基本指針の策定を義務付けている。これまでアレルギー疾患対策は個別に進められてきたが、省庁横断で取り組む体制が整う意義は大きい。


法施行を踏まえ、国は来年1月にも基本指針づくりを議論する協議会を設ける予定である。基本法の制定をリードしてきた公明党としては、実効性の高い指針が策定されることを望みたい。


一口にアレルギー疾患といっても、ぜんそくやアトピー性皮膚炎、花粉症など症状はさまざまだ。全ての症状に詳しい医師は少なく、適切な治療や十分な情報を受けられずに苦しむ人は珍しくない。協議会では、専門医の育成や相談体制のあり方について議論を深めてもらいたい。


併せて基本法は、都道府県が、対策を推進する基本計画を「策定できる」と定めている。自治体によってアレルギー対策には大きな開きがあるのが実情だ。取り組みが遅れている自治体は、基本計画の策定を機に対策の充実をめざしてほしい。公明党の地方議員も後押しし、計画づくりを進めていきたい。


こうした基本指針や計画づくりで重視したいのが、過去に死亡事故もあった学校給食による食物アレルギーである。基本法も、アレルギー体質の子どもへの配慮を学校に義務付けている。


アレルギー食材を除いた「除去食」を提供する場合でも、教員が1人で確認する体制では心もとない。配膳までに複数の人間がチェックできる工夫が必要だ。万が一、重篤な症状が出た場合に注射薬「エピペン」が適切に使えるよう、教職員の研修機会も充実させたい。


東京のある自治体では、不測の事態に備え、公立小中学校での食物アレルギーに対応するため、公的な医療機関とのホットラインを設けている。消防機関も含め、日頃から連携を築くことが大切だ。家庭と学校、関係機関でアレルギーの情報を共有しながら、組織的に子どもを守りたい。

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