eマタハラ 女性の活躍へ 防止対策強化を

  • 2015.11.25
  • 情勢/解説

公明新聞:2015年11月25日(水)付



女性の活躍推進へ、今こそ社会の意識変革が必要だ。


妊娠や出産などを理由に不当な扱いを受けるマタニティー・ハラスメント(マタハラ)が社会問題化している。妊娠を理由に降格されたとして、広島市の病院に勤務していた女性による民事訴訟の差し戻し審で、広島高裁は病院側の対応をマタハラに当たる違法行為と判断し、慰謝料の支払いを命じた。判決結果を重く受け止めなければならない。


マタハラを巡っては、公明党の提案を受け、厚生労働省が就業形態別の実態調査を初めて行った。その結果によると、マタハラを経験した女性は、派遣社員で約5割、正社員で約2割に上ることが分かった。マタハラ防止策の強化は急務である。


現行の男女雇用機会均等法は、妊娠や出産などを理由とした女性への不利益な扱いを企業側に禁止しているが、防止策を義務付けてはいない。


そこで、公明党女性委員会は、マタハラ防止の取り組みを強化するため19日、法改正の必要性を政府に訴えた。併せて、厚労省の調査を踏まえ、防止措置を派遣先企業にも義務付けるよう提案した。


マタハラを追放することは、「女性の活躍推進」「男女共同参画社会」を実現するための大前提だ。


一方、事業主には企業風土の改善を求めたい。政府が年内の策定を急ぐ第4次男女共同参画基本計画の重要な視点として、男性中心型労働慣行などの変革が挙げられている。女性が活躍できる環境の整備には、男性の働き方も含む社会全体の取り組みが不可欠となる。


改善に向けた対策として、厚労省は、妊娠を理由に女性を解雇した茨城県内の病院名の公表に踏み切った。病院が県や国の指導を拒否したからだ。今後、企業がマタハラ防止に必要な対策を講じず、是正指導にも応じない場合、企業名の公表など指導監督をさらに強めていくべきだ。それでも、応じない場合の罰則も検討する必要があるのではないか。


政府は、男女雇用機会均等法や育児・介護休業法の改正案を来年の通常国会に提出する方針を示している。マタハラの根絶に向け、実効性を高める法改正を期待したい。

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