eコラム「北斗七星」

  • 2015.11.20
  • 情勢/社会

公明新聞:2015年11月20日(金)付



NHK朝ドラが面白い。あさは先週、炭鉱の経営に乗り出した。意気揚々と九州に乗り込むが、坑夫は酒を飲んで働かない。仕方なく、提灯片手に和服で坑口に潜ったあさを、飯場主がすごい剣幕で引きずり出し、怒鳴った。「いつ何時、火だるまになるか分からんとぞ!」◆ガス爆発に落盤、鉄砲水。ヤマ(炭鉱)は死と隣り合わせだ。坑夫の肩を持つわけではないが、飲んだくれていたわけではなく、あさの覚悟を見極めていたのに違いない。あさのモデルである広岡浅子は福岡県筑豊の潤野炭鉱(現飯塚市)を買収後、坑夫と生活を共にしながら、10年余にわたって採炭の陣頭指揮を執った◆先日、炭鉱跡の県立嘉穂高校の正門前に立つ慰霊碑を訪れた。浅子が炭鉱を売却後の明治36年、ガス爆発で64人が犠牲になった。碑に女性の名前もある◆ヤマでは親子やきょうだい、夫婦が一緒に汗を流した。男女が働く姿は、後に浅子が初の女性銀行員を採用したことにもつながる。男の世界という印象が強いヤマが、男女共同社会の先駆けだったのだ◆ところで、強引に結び付けるようで少し気が引けるが、炭鉱跡の同高校を卒業したのが、来夏の参院選福岡選挙区に挑む高瀬ひろみさんだ。旧産炭地で生まれ育ち、外交官の道へ。朝ドラ同様、こちらの活躍からも目が離せない。(也)

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