e行政のムダ削減 不断の監視強め、効率的な予算に

  • 2015.11.13
  • 情勢/社会

公明新聞:2015年11月13日(金)付



国の予算のムダを点検する「行政事業レビュー」は、有識者による公開検証が11日から3日間の日程で始まっている。予算が効率的で適正に使われているか、徹底した議論を期待したい。


財務省によると、行政事業レビューにより政府の2014年度予算は概算要求段階から4800億円削減され、15年度も1000億円の歳出抑制につながったという。


11日の公開検証では、ホテルなどが耐震工事を行う際に一定額を補助する国土交通省の事業に対し、事業者の利用が進んでいないことを問題視する意見が出された。同事業では、自治体の上乗せ補助がある場合、国の補助率はおよそ33%となるが、自治体の補助がない場合の補助率は11.5%にとどまる。


有識者からは、事業者の負担が自治体間で大きく異なるのは適切ではなく、国と地方が連携して地域差を是正することが必要だと指摘された。


もっともだ。限られた予算を有効に生かす視点を持つのは当然のことだ。


核燃料運搬船の維持費見直しなどを求める声も出たが、政府は指摘を真摯に受け止め、対応を検討してほしい。


公開検証の最終日となるきょうは、20年の東京五輪関連事業などが議論される。五輪に関しては、新国立競技場の建設計画をめぐり、運営組織のコスト意識に対する信頼が損なわれた経緯がある。今後、数年間継続する事業だけに、しっかり検証すべきだ。


公開検証の結果は今月下旬にもまとめられる。有識者の意見に強制力はないが、その内容は、インターネット中継などを通して国民に幅広く共有され、不断の監視がなされていることを関係府省は肝に銘じてもらいたい。


行政改革に関して、今月には会計検査院による14年度の決算検査報告がまとめられ、改善が必要な事業が570件、1568億円に上ることも明らかになった。


社会保障費の増大に伴い国民の負担は増しており、非効率な公費支出は今まで以上に納税者の理解を得られない。政府は行政改革を一段と進めるとともに、まずは来年度の予算編成過程でレビューの結果を反映させ、具体的なムダ削減を進めるべきである。

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