e大活字本で読書の喜びを

  • 2015.10.27
  • 情勢/社会

公明新聞:2015年10月27日(火)付



専門書店が好評
東京・神田



きょうから読書週間(11月9日まで)。公明党が推進した「文字・活字文化振興法」が制定されて今年で10年を迎えた。誰もが読書を楽しめる環境づくりが着実に進む中、弱視の人や高齢者が読みやすい大活字本のさらなる普及が求められている。



公明、購入助成など後押し


池井戸潤に葉室麟、村上春樹―。東京都千代田区の神田神保町にある日本初の大活字本専門書店「Viva神保町」には、普段目にするより一回りも二回りも大きなサイズのベストセラー本や時代小説、辞典など約2100点が並ぶ。


日本眼科医会の推計によると、高齢や弱視などで読書や読み書きに困っている人は164万人を超すという。こうした人たちの読書に役立っているのが文字サイズの大きな大活字本だ。一般の図書で使われる約3ミリ角の字より2~3倍大きな文字を使った書籍で、読みやすいよう黒色の背景に白い文字で印刷した物もある。


大活字本の出版や普及を進め、Viva神保町を昨年11月にオープンさせたNPO法人「大活字文化普及協会」の市橋正光事務局長のもとには、白内障で読書をあきらめていた高齢者から「眼鏡なしで読めたのは初めてで感動した」とつづられた手紙など、喜びの声が相次いで寄せられている。


一方で大活字本はページ数が増えるため、通常の1冊の内容を収めるのに3冊程度が必要になるなど、購入費用がかさんでしまう側面もある。そこで昨年5月、読書環境の整備を進める公明党の後押しもあり、厚生労働省は生活用品を必要とする障がい者の暮らしを支援する「日常生活用具給付等事業」の一覧に、大活字図書や、音声と画像で読書ができるデジタル録音図書(デイジー図書)を明記した。


市区町村が事業主体のため、実際の補助対象は自治体が決めているが、公明党の推進で今年度からは全国で初めて東京都の千代田区と江戸川区が対象品目に大活字図書を加えた。例えば江戸川区では、障害者手帳などを持っていれば大活字図書を価格の1割の負担で買うことができる。1人当たり年間6万円の購入が上限で、既に支給が決定した例もあり「今後も利用は増える見通し」(同区障害者福祉課)という。


市橋事務局長は、「今や全国の半数を超す図書館に大活字本が置かれているが、本の購入に対する支援は少ないのが現状」と指摘する。弱視者問題研究会の新井愛一郎さんも、「私たちが本を読もうとすると、楽しさより苦しさが先に来てしまう。大活字本で読書の喜びを皆に実感してもらいたい」と、制度の広がりに期待を寄せている。

月別アーカイブ

iこのページの先頭へ