eスポーツ庁発足 五輪はもちろん、普及にも力注げ

  • 2015.10.01
  • 情勢/解説

公明新聞:2015年10月1日(木)付



スポーツ政策の司令塔となる「スポーツ庁」が、きょう1日発足する。


教育行政の一部だったスポーツの主管庁が誕生する意義は大きく、同庁の設置を推進してきた公明党としては感慨深いものがある。


初代長官には、五輪金メダリストの鈴木大地氏が就任する。長年の競技経験を生かしてスポーツの魅力を発信し、国内スポーツの振興へ強いリーダーシップを発揮してほしい。


スポーツ庁には、さまざまな役割が期待されている。


短期的には、2020年の東京五輪・パラリンピックに向けた競技力の向上だ。東京五輪で金メダル獲得数世界3位以内を目標に掲げる日本にとって、トップアスリートの発掘・育成は不可欠だ。次世代につながる戦略的な選手強化を望みたい。


ただ、同庁は五輪やパラリンピックだけを見据えた組織ではない。スポーツを普及させ、国民が健康に暮らせる環境づくりも担うことになる。


文部科学省の調査によると、運動不足を感じている20歳以上の成人は、約75%に上る。高齢者を中心に健康志向は高まっており、もっと幅広い人たちがスポーツを楽しめれば、健康面で一定の効果が期待できる。


また、日常的にスポーツに親しみ汗を流せば、人と人との交流が育まれる機会も増えるだろう。近年、地域社会の人間関係の希薄化が指摘されているが、スポーツの裾野が広がっていけば、地域の連帯も強まっていくのではないだろうか。


人々が身近にスポーツを楽しむためには、一定の環境整備が必要になる。関係省庁や自治体などに整備の必要性をアピールするとともに、スポーツの持つ力を広く国民に啓発し、参画を促していく。スポーツ庁は、そんな役割も果たしてもらいたい。


スポーツ担当省を他国に先駆けて設置したフランスでは、高齢者や障がい者、家族らに対し、世代や立場を超えてスポーツを楽しむことを奨励する「家族によるスポーツの週末」と称した全国キャンぺーンを行うなど、施策の展開が活発だ。こうしたスポーツ先進国の取り組みも、参考になるのではないか。

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