e災害ごみの処理 自治体の計画策定と連携が重要

  • 2015.09.29
  • 情勢/解説

公明新聞:2015年9月29日(火)付



鬼怒川の堤防決壊で市街地が広範囲に浸水した茨城県常総市では、膨大な量のごみやがれき(災害廃棄物)が発生し、県や市は対応に追われている。


災害廃棄物を一時的に保管する仮置き場には、大量のごみが持ち込まれており、既に満杯になったところも少なくない。仮置き場以外の路上などに不法投棄されたごみも多く、不衛生で悪臭を放っている。国も職員を派遣して廃棄物処理の応援に当たっているが、引き続き全力でバックアップしてもらいたい。


国は自治体に対し、大規模な災害に備え、事前に仮置き場や処理方法を定めた「災害廃棄物処理計画」の策定を求めているが、都道府県で約2割、市区町村で約3割しか実際に策定を済ませていない。茨城県と常総市は計画が未定だった。


東日本大震災でも膨大な災害廃棄物が発生し、その処理の遅れが、復旧・復興に支障をきたしたことは記憶に新しい。災害廃棄物はさまざまなごみが混ざり合っており、処理の難しさも悩みの種だ。混乱を最小限に抑えるためにも、処理計画の策定率を高めていく必要がある。


ただし、計画づくりのノウハウや人材が不足している自治体は珍しくない。後押しする取り組みが欠かせない。


折しも、官民一体で災害ごみの処理を支援する「災害廃棄物処理支援ネットワーク」が今月発足した。


同ネットワークは、環境省が事務局を務め、民間の事業者団体、研究機関などで構成される組織だ。災害時には廃棄物を処理するための技術的な助言を行うほか、平時には自治体の処理計画の策定を支援する役割が期待されている。自治体は、こうした専門家の活用を検討してほしい。


もちろん、自治体単独での対応には限界がある。


常総市は近隣自治体と災害時の相互支援協定を結んでおり、応援を受けながら廃棄物の処理を進めている。28日から横浜市や名古屋市が応援職員を派遣し、廃棄物の収集・運搬を支援している。

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